長良川本流沿い露頭編 その179 白鳥町歩岐島の溶結凝灰岩(白鳥流紋岩) :郡上市白鳥町歩岐島の南の橋の上流100mほど左岸露頭
一昨年の10月5日「長良川沿いの白鳥流紋岩その1」で紹介した白鳥町歩岐島の左岸露頭で見られる溶結凝灰岩を再度紹介します。白鳥町歩岐島には、長良川鉄道の終点である北濃駅があります。北濃駅の東の道路は国道156号ですが、北進すると200mほどのところに橋が架かっています。そこを東へ渡り、近くに車を止め、河原へ下り、上流(北)へ100mほど進むと左岸に溶結凝灰岩が露出しています。ここの溶結凝灰岩は、淡緑灰色をしていて、1mm~数mmの石英とカリ長石、1mm前後の斜長石が入っているのがわかります。また、5mm~数cmの長さをしたレンズ状の緑灰色をしたものが点在しています。これは本質レンズと呼ばれ、軽石などの火山噴出物がつぶされてぺちゃんこ状態になったものです。
溶結凝灰岩は、火砕流によってもたらされたものが堆積して形成した岩石です。大量で高温(800℃ほどと言われる)の火砕流が噴出し、山体を流れ下り堆積すると、火砕流堆積物はさめてしまわずに、自身の熱でガラス分が軟化し、自身の重さでつぶれてしまいます。それを溶結作用と呼びます。ここで見られる本質レンズは、測ると東西を軸として、北に15°ほど傾いていますが、その面が火砕流堆積物の堆積面を表しています。
地質図において、この溶結凝灰岩の露頭(×地点)は、黄土色で横線あり(SR)の中にあって、黄土色で横線ありは白鳥流紋岩火山岩類です。写真が四種類ありますが、上の写真は溶結凝灰岩の露頭を北からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央部を撮ったものです。中下の写真は、上の写真(または中上の写真)に写っているハンマーの上の部分を近づいて撮ったものです。長さ数cm以下の暗灰色(実際には緑灰色)をしたレンズ状のものが本質レンズです。下の写真は、溶結凝灰岩を割った面を接写したもので、写真の縦は2.5cmです。スケールとして置いてあるハンマー、定規の長さは、それぞれ約28cm、約17cmです。中上と中下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)
コメント
コメントを投稿