長良川本流沿い露頭編 その180 白鳥町歩岐島の溶結凝灰岩、本質レンズ(白鳥流紋岩) :郡上市白鳥町歩岐島の北側の橋の下流100mほど左岸露頭
郡上市白鳥町歩岐島には、長良川に架かる橋が2本あります。前回「長良川本流沿い露頭編その179」で紹介した露頭は、2本のうちの南側の橋の上流部の露頭です。今回紹介するのは、北側の橋の下流部の露頭です。北側の橋を東へ渡り、近くに車を止めます。橋から10mほど北に巨石がはめ込まれてある階段があります。そこを下り、下流へ進み、橋をくぐってさらに100mほど進むと、左岸に溶結凝灰岩の露頭があります。ここの溶結凝灰岩は、淡灰色~暗灰色をしていて、1mm~数mmの石英が点在した岩石です。風化面には、幅が5mm~1cmで、長さが数cm~10cmの本質レンズが少しの凹みとして見られます。観察する限り、本質レンズの大きなものは幅2.5cmで、長さ21cmです。多く入る部分もあります。
本質レンズは、溶結凝灰岩の中で、レンズ状になったものを指します。溶結凝灰岩の特徴的な包有物で、火砕流の中に含まれている軽石などがもとになっています。軽石は、マグマの中で発泡した液体状のものが空中へ飛ばされて回転しながら冷え固まったものです。そのため、軽石は穴だらけ(マグマの状態の時は火山ガスが入っていた)でまるっこい軽い石なのです。それが、大量の火砕流堆積物の中で、重さによって圧縮され、熱によって軟化し、軽石の穴の部分がつぶれて、ぺちゃんこの餅のようになるのです。上から見ると丸っこいのですが、横から見るとレンズ状に見えます。そのため、マグマ起源のレンズ状のものという意味で、本質レンズと呼びます。
地質図において、この溶結凝灰岩の露頭(×地点)は、黄土色で横線あり(SR)の中にあって、黄土色で横線ありは白鳥流紋岩火山岩類です。写真が五種類ありますが、上の写真は溶結凝灰岩の露頭を北西からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央の少し右を撮ったものです。真中の写真は上の写真(または中上の写真)に写っているハンマーの右上周辺を西から撮ったもので、本質レンズが多く入っている部分です。中下の写真は、真中の写真とほぼ同じ場所を撮ったものです。下の写真は上の写真(または中上の写真)に写っているハンマーの左上少し離れたところを北西から近づいて撮ったもので、本質レンズが複数見られます。スケールとして置いてあるハンマー、定規の長さは、それぞれ約28cm、約17cmです。中上と中下、下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の黒丸または白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)
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