長良川鉄道沿いの地形・地質編 その4 南からしばらく見える松鞍山 :関市役所前駅~関下有知駅間、車窓前方より

 長良川鉄道の起点である美濃太田駅から関下有知駅の間は、ほぼ平地を走りますが、関下有知駅より北は主に山地の間や山地の中を走ります。関市役所前駅~関下有知駅間は、進行方向(北)にそれほど高くはないですが、隣り合った山頂が2つあって鞍のように見えなくもない「松鞍山」がずっと見えています。地質図を見ると、松鞍山(赤丸の中)はチャート層(オレンジ色(Mch))の間に砂岩層(黄色(Mss))が入り込んで分布しています。チャート層は硬く侵食を受けにくく、砂岩層はそれほど硬くなく侵食を受けやすいため、チャートの部分が高く、砂岩の部分が低くなり、南の方から見ると両方のチャートの部分が高く、真中の砂岩の部分が低いという鞍のような山の形になるのです。ただし、見る角度によっては、右側(東側)のチャートは高いですが、左側(西側)のチャートが真中の砂岩の部分とあまり高さが変わらないようにも見えます。

チャート層は陸から遠く離れて砂などが届かないような深海で堆積したもので、砂岩層は陸の近くで陸側から流れ込んだものが堆積したものです。地質図上でオレンジ色(Mch)と黄色(Mss)が接している松鞍山のような場所は、堆積した場所と構成するものが全く異なる堆積層が隣り合った状態で分布しているのです。チャート層と砂岩層が繰り返して堆積したわけではなく、陸地の近くで堆積した砂岩層が、海洋プレートに載って移動してきたチャート層などと一緒に、大陸の縁(現在の日本列島)に付加したものがもとになっています。繰り返して堆積したように見えるのは、付加したときに単に混ざり合うのではなく、チャート層と砂岩層がシート状になって、断層に境されながら、お互いにはさまれるような関係になるためです。そのため、隣り合って繰り返して堆積しているように見えるチャート層と砂岩層は、堆積した場所も年代も全く違うものなのです。もちろん、シート状になってはさまっているのは、チャート層や砂岩層だけでなく、泥岩層のような他の堆積層も同様です。

写真が4種類ありますが、上の写真は長良川鉄道の前方の車窓から撮ったものです。市役所前駅を出てから15秒後ほどの写真で、正面の山が松鞍山です。市役所前駅に着く前にも見えています。中上の写真は、関下有知駅の南700mほどの位置(地質図の×地点)から列車と松鞍山を撮ったものです。中下の写真は、松鞍山を南西から撮ったものです(長良川鉄道沿線ではありません)。下の写真は、美濃駅を出て約1分20秒後、車窓後方から(北から)松鞍山を撮ったものです。北から松鞍山を見ると、真中の砂岩の部分が低くなっているのがよりわかります。ただし、松鞍山が単独で見えるわけではないため、やや松鞍山がわかりにくいです。中下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、写真の下部にある白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)






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