長良川鉄道沿いの地形・地質編 その5 湯の洞温泉口駅の南西にあるトンネル(チャート層) :梅山駅~湯の洞温泉口駅間、梅山駅出発後3分強

 長良川鉄道の起点である美濃太田駅から終点の北濃駅の間には、トンネルが12あります。美濃太田駅からはじめてのトンネルは、湯の洞温泉口駅の南西(湯の洞温泉口駅の手前)にあります。地質図にはトンネルの位置を×で示しましたが、オレンジ色(Mch)が分布していて、オレンジ色はおもにチャートからなる地層です。チャートは、岐阜県ではそこら中にあって、ただの石の代表のようなものです。しかし、チャートは岐阜県の「県の石」です。日本地質学会が創立125周年を迎えるにあたって、全国47都道府県において、その県に特徴的に産出する、あるいは発見された岩石・鉱物・化石をそれぞれの「県の石」として選定したのです。2018年のことです。美濃地方に広く分布しているチャート層は、古生代のペルム紀(2億9000万年~2億4500万年前)から中生代のジュラ紀(2億800万年~1億4600万年前)の時期に、砂や泥が流れ込まないような陸地から離れた深海底に堆積したものです。径が1mmより小さい放散虫などの生物の遺骸等が、1000年に数mmといわれるほどゆっくり堆積して形成された地層です。それが、海洋プレートに載って移動し、日本列島の一部として付加したものを見ているのです。

河川が曲流する場合、外側(攻撃斜面とよぶ)は、流れのスピードが速いため削る力が大きいです。一方、内側(滑走斜面とよぶ)は、流れのスピードが遅いため、浸食より堆積が起こる場合が多いです。小学校5年の理科で習ったと思います。×地点はトンネルの位置ですが、長良川の攻撃斜面にあたり、浸食の場であり、平地がほとんどありません。そのため、それまで平地や緩斜面を走っていた列車は、この場所をトンネルで通過します。

写真が三種類ありますが、上の写真は西から東へ抜けるトンネルの入口を車窓前方から撮ったもので、梅山駅出発後3分強の場所です。中の写真はトンネルを東へ抜けた列車を北より撮ったものです。下の写真は、中の写真の右下のさらに数m右のところを北から撮ったもので、ハンマーの位置にチャート層が露出しています。スケールとして置いてあるハンマーの長さは約28cmです。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)





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