長良川鉄道沿いの地形・地質編 その10 国道156号木尾橋下の長良川とチャート :母野駅~木尾駅間、母野駅から出発して約1分後、右車窓より

 長良川鉄道下りにおいて、母野駅出発後1分弱でトンネルを通り、抜けるとすぐに短い橋梁を渡ります。その時、国道156号の木尾橋と並行に走っています。木尾橋は長良川を渡るためではなく、長良川の右岸に川を避けるように架けられている橋です。直接確認しているわけではありませんが、岐阜県中濃消防組合の消防署員に聞いたところによると、この木尾橋の下の水深が長良川の中で一番深く、20mほどあるようです。3年前の10月13日「長良川鉄道の車窓からみた岩石その2」で紹介していますが、再度紹介します。

木尾橋の下は、河川の攻撃斜面(カーブの外側)であるため流れが速く、浸食が激しいです。また、この場所の周辺は、メランジュと呼ばれる基質となる泥岩の中に大小の岩塊が入っている地質体からなっています。特に橋の近くにはチャートが分布していて、チャートは非常に硬いです。地質図を見ると、この地点(×地点)周辺は灰色(Mmx)が分布し、×のすぐ下(南)には東西に長細くオレンジ色(Mch)が分布します。灰色はメランジュからなる地層で、オレンジ色はおもにチャートからなる地層です。この地質図は基本的に5万の1の縮尺で作成されていますので、メランジュの中の巨大な岩塊(数100m以上)は表現されていますが、数10m以下の岩塊は表現されていません。そのため、灰色(Mmx)で表されている部分(メランジュからなる地層)には、地質図に表されているチャート(オレンジ色(Mch))、珪質泥岩(そら色(Msi))、玄武岩質火山岩類(緑色(Mbs))、砂岩(黄色(Mss))の巨大岩塊だけではなく、もっと小さな(小さなと言っても数10mオーダーのものもあり)岩塊が多く含まれています。メランジュの中にチャートなど硬い岩石が含まれていると、メランジュの基質である泥岩の部分が主に浸食され、チャートの部分は削られることなく残ることになります。その結果、河川の攻撃斜面で激しい浸食のため形成した深い穴が保存されたと考えられます。

写真が四種類ありますが、上と中上の写真は列車の車窓から木尾橋と川を撮ったものです。中下の写真は長良川鉄道トンネルの北口の東で見られるチャート層です。下の写真は、木尾橋から長良川鉄道の列車(下り)を撮ったものです。トンネルを出てすぐのところを北から撮りました。中下の写真は、「長良川鉄道の車窓からみた岩石その2」でも使用しています。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)






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