長良川鉄道沿いの地形・地質編 その14 みなみ子宝温泉駅出発直後に見える層状チャートと珪質泥岩層 :みなみ子宝温泉駅~大矢駅間、みなみ子宝温泉駅から出発して約20秒後、左車窓より
3年前の10月15日「長良川鉄道の車窓からみた岩石その3」、昨年の1月16日「長良川本流沿い露頭編その71」で紹介した層状チャートと珪質泥岩層が接している露頭を再度紹介します。みなみ子宝温泉駅は、温泉施設が併設された駅です。途中下車をして、温泉につかり一服できる駅で、長良川鉄道で行くと温泉施設の割引があります。弱アルカリ単純温泉で、肌の不要な角質をとる美肌効果があると言われています。この温泉施設(子宝の湯)の近くには、昔から子授け、安産の守り神として信仰されてきた勝原の子安神社があり、それが温泉の名前の由来になったようです。また、平成2年の国勢調査での人口の重心地がこの近くだった(現在は東へ移動)ため、日本のへそにあたるということから、子宝に恵まれるようにとの思いも込めて子宝の湯と付けられたようです。
この温泉施設は、長良川の左岸沿いにあります。そのため、みなみ子宝温泉駅から出発すると、左車窓からすぐ(約20秒後)長良川沿いの岩(露頭)が目に入ってきます。長良川に支流が合流している地点が見えますが、その10m弱南に層状チャートと珪質泥岩層が接している露頭があります。
層状チャートと珪質泥岩層は、美濃帯堆積岩類を構成する主要な岩石です。美濃帯堆積岩類は、海洋で噴出したり堆積したりしたものが海洋プレートによって移動して、陸地から運ばれた砕屑物(砂や泥など)と混じり合って、大陸の縁(現在の日本列島)に付加したものです。チャートは砂や泥が届かないような陸地から離れた深海底で堆積したものですが、珪質泥岩は陸地に近づいたところで堆積したものです。そのため、珪質泥岩はチャート形成のもとになっている放散虫などの珪質の殻をもった生物の遺骸と、泥の粒がまざっている岩石です。
地質図において、車窓から見えるこの露頭地点(×地点)はそら色(Msi)である珪質泥岩からなる地層と、オレンジ色(Mch)であるおもにチャートからなる地層の境界付近にあります。写真が四種類ありますが、上の写真は層状チャートと珪質泥岩層が接している露頭を車窓から撮ったものです。中上の写真は、この露頭に近づいて東からパノラマで撮ったものです。中上の写真に写っている場所は、上の写真では赤丸で示しました。また、中上の写真には、層状チャートと珪質泥岩層の境界を示してあります。中下の写真は中上の写真の中央部を撮ったもので、写真の中央に写っているレンズ状(淡灰色)の岩石はチャートです。そのチャートに近づいて撮ったものが下の写真です。なお、上の写真以外の写真は「長良川本流沿い露頭編その71」でも使用しました。スケールとして置いてあるハンマー、黄色の定規の長さはそれぞれ約28cm、約20cmです。中下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、写真の下部にある白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)
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