長良川鉄道沿いの地形・地質編 その12 八坂駅~みなみ子宝温泉駅間の鉄橋(第二長良川橋梁)から見える珪質粘土岩と花崗斑岩など(長良川右岸側) :八坂駅~みなみ子宝温泉駅間、八坂駅を出発して30秒弱、右車窓より下方を望む

 長良川鉄道八坂駅出発後30秒もたたないうちに、鉄橋を通り長良川を渡ります。その鉄橋が第二長良川橋梁です。長良川を渡る手前、右車窓から下方を望むと、河床に岩が露出しているのがわかります。花崗斑岩、珪質粘土岩などです。一昨年の12月23日「長良川本流沿い露頭編その64」に紹介した露頭ですが、再度紹介します。

美並町八坂にある第二長良川橋梁の橋脚から下流へ20mほどの右岸河床には花崗斑岩などが、40mほどの河床には珪質粘土岩などが露出しています。珪質粘土岩の露頭は、淡灰色の珪質粘土岩に黒色の珪質泥岩がはさまっているため、縞模様のように見えます。ただし、車窓からは残念ながら縞模様までは見えません。露頭に近づけば、縞模様を切って貫入岩が複数入り込んでいるのもわかります。

珪質粘土岩は、美濃帯堆積岩類に特徴的な岩石で、礫、砂、泥などをほとんど含まず、粘土鉱物だけからなる岩石です。チャート層に伴って存在し、中に黒色の珪質泥岩をはさむことを特徴としています。詳しい調査研究によって、中生代三畳紀の層状チャートの基底部に存在することがわかっていて、三畳紀初期における酸素が少ない状態の海洋で堆積したものだと考えられています。貫入岩は、肉眼で1mm以下の長石が点在するのを確認できます。近くに花崗斑岩が露出しているので、同じマグマが冷え固まってできた微小の鉱物粒からなる珪長岩だと思いますが、顕微鏡などで鉱物を確認しているわけではないため、ここでは貫入岩としておきます。

地質図において、列車の車窓から見えるこの露頭(×地点)は灰色(Mmx)の中にあります。灰色はメランジュからなる地層です。この珪質粘土岩は、メランジュの中の岩塊と考えられます。写真が五種類ありますが、上の写真は右車窓から下方を望んで撮ったもので、中上の写真は拡大モードにして撮ったものです。真中の写真はこの露頭に近づいて、南西からパノラマで撮ったものです。中央上部に写っている4本の柱状のものは第二長良川橋梁の橋脚です。中下の写真は真中の写真の中央下部を撮ったもので、下の写真は中下の写真(または真中の写真)に写っているハンマー付近をより近づいて撮ったものです。下の写真に写っているのは珪質粘土岩です。真中と中下、下の写真は、「長良川本流沿い露頭編その64」でも使用しています。スケールとして置いてあるハンマーの長さは約28cmです。中下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、写真の下部の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)







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