長良川鉄道沿いの地形・地質編 その32 郡上八幡駅~自然園前駅間対岸遠方に見える層状チャート :郡上八幡駅~自然園前駅間、郡上八幡駅から出発して約1分後(国道156号郡上大橋の隣の鉄橋上から)、左車窓より後方を望む

 郡上八幡駅を出発して1分ほどたったところで、国道156号沿いの青色の橋(郡上大橋)の隣を通過します。そのときに長良川を左車窓から眺めることができます。左車窓から後方を望むと、長良川の対岸遠方に、昨年の5月28日「長良川本流沿い露頭編その135」で紹介した層状チャートの露頭が見えますので、再度紹介します。ここのチャートは層状チャートですが、層厚は一定でなくやや波をうっている状態です。暗青灰色~淡青灰色をした数cm~10cm厚のチャート層に、灰色をした数mm~1cm厚の泥岩層がはさまっています。ただし、はさまっている泥岩層は酸化のため褐灰色の部分が多いです。また、砂や礫で埋まって深さはわかりませんが、直径が3.1mほどの甌穴が見られます。甌穴は、上流から運ばれてきた岩石が岩盤の表面にある割れ目などに引っかかり、強い水の流れの中でその岩石が回転し、ドリルのように岩盤に穴をあけたものです。甌穴は、チャートのように河床の岩盤が硬く、激しい水の流れがあるところにできやすいです。

地質図において、このチャートの露頭(×地点)は、レンズ状に分布するオレンジ色(Mch)の中にあります。オレンジ色はおもにチャートからなる地層で、その周りに広く分布する黄色(Mss)はおもに砂岩からなる地層です。写真が五種類ありますが、上の写真は長良川鉄道の列車の左車窓からやや後方を望んで撮ったものです。撮ったのは郡上八幡駅を出てから約1分後で、列車はちょうど支流の吉田川に架かる短い鉄橋を通過している時です。その鉄橋の右には国道156号の郡上大橋が架かっています。地質図には写真を撮った方向を矢印で示しました。中上の写真は上の写真の赤丸で囲った露頭(層状チャート)を近づいて西からパノラマで撮ったもので、真中の写真は中上の写真の中央部を撮ったものです。真中の写真の右下角に写っているのは甌穴です。中下の写真は、層状チャートがわかりやすい部分を北東から撮ったものです。下の写真は甌穴を西から撮ったもので、スケールは写っていませんが甌穴の直径は約3.1mです。なお、上の写真以外の写真は、「長良川本流沿い露頭編その135」でも使用しています。スケールとして置いてある折れ尺、黄色の定規の長さは、それぞれ1m、約22cmです。真中と下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の●を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)







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