長良川鉄道沿いの地形・地質編 その40 美濃白鳥駅~白鳥高原駅間の鉄橋下流側河原の石ころの並び(インブリケーション(覆瓦構造)) :美濃白鳥駅~白鳥高原駅間、美濃白鳥駅出発後約1分40秒後、左車窓より

 終点の北濃駅に向かって美濃白鳥駅を出発します。1分40秒ほどすると長良川を渡ります。左車窓から下流側右岸を見ると、規模は大きくないですが河原の石ころが広がっているのが見えます。露頭はありませんが、河原の石ころ(礫)の並びについて紹介します。

列車の上からでは確認できませんが、河原の石に近づいて見てみると、割合規則的に石が並んでいるのを確認することができます。まるい石が広がっていれば、どの河原でも見られる現象ですが、石が傾いて並んでいます。このような並びをインブリケーション(覆瓦構造)と呼びます。河原の石は角が取れていますが、球形ではなくつぶれた形になっている場合が多いです。そのような形の石が水に流されて、堆積する時は、流れに逆らうことなく石の上流側が下がり下流側が上がるという状態になります。逆に石の上流側が上がり下流側が下がるという状態では、水流によってめくられてひっくり返ってしまいます。石の上面が上流側に向いた状態です。それが石にとって安定した状態なのです。そのような石の並びは、瓦を敷き詰めたような状態なので、日本語では覆瓦構造と呼びます。また、石があると水の流れがさえぎられるため石の前面の土が掘られ、石の上流側が下がり、より石の上流側が下がり下流側が上がるという状態になります。

 礫層が見られる場合、その礫一つ一つが一定方向に傾いていることがあります。地層の中でもインブリケーションを示しているのです。これを観察することによって、礫が堆積した当時の水流の方向がわかります。インブリケーションは礫に限らず、砂でも見られることがあり、顕微鏡レベルで観察することによって流れの方向が見出せる場合もあります。

地質図において、この場所(×地点)は白色の中にあり、第四紀の堆積層です。写真が五種類ありますが、上の写真は長良川鉄道下りにおいて、美濃白鳥駅を出て1分40秒ほどで長良川を渡る際に左車窓から撮ったものです。赤丸で囲った部分を川の対岸から(東から)撮ったのが中上の写真です。石ころに混じってコンクリートブロックもあります。真中の写真は、中上の写真とほぼ同じ場所をもう少し広く撮ったものです。中下の写真は中上の写真とほぼ同じ場所を撮ったものですが、インブリケーションがわかるように上流側が下がり下流側が上がっていることがわかる石に赤線で印をつけました。下の写真は、鉄橋の70m下流から長良川鉄道の列車を撮ったものです。中上と真中の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、写真の下部の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)







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