長良川下流沿いの地形と設備 その8 輪之内町の十連坊堤(輪中堤) :安八郡輪之内町十連坊

 長良川右岸堤防道路をさらに南進します。名神高速道路の下をくぐり、堤防に上がると、右手にやや低い堤防が西方に延びているのが確認できます。これが十連坊堤(福束(ふくづか)輪中堤の一部)で、輪中堤です。この輪中堤は、輪之内町のほぼ北限にあたる位置にあります。前回紹介した1976年9月12日の長良川堤防の決壊時には、安八町内へ流れ込んだ濁流が北方や南方へ広がって流れました。特に、南方は地形的に低いため、濁流がかなり勢いよく流れ込み、名神高速道路の下の通路を使ってさらに南へ流れたようです。しかし、この輪中堤で止められたことによって、南に位置する輪之内町へは流れ込むことはなかったのです。

輪中堤は、ある特定の区域を洪水から守るために、その周囲を囲むようにして造られた人工の堤防です。河川がつくり出した自然堤防の高まりを巧みに利用して造られたものです。その地域に生活する人々にとって、命を守り、生活を守るという自衛策として広まったもののようです。

地質図において、×地点が写真に写っている十連坊堤の位置です。周辺には第四紀の堆積層が分布していて、a(白色)は現河床堆積物および後背湿地の堆積物、a1(灰色)は主に自然堤防の堆積物です。×地点の西には、東西方向に自然堤防(a1)が分布していますが、その場所に十連坊堤が造られています。写真が五種類ありますが、上と中上の写真は長良川右岸堤防から輪中堤(十連坊堤)を望んでパノラマで撮ったものです。上の写真は南西を望んで、中上の写真は南南西を望んで撮りました。真中の写真は上の写真の中央左を撮ったもので、中下の写真は同じ場所を東から撮ったものです。長良川右岸堤防(写真の手前に写っている道路)に対してほぼ直角の方向に輪中堤が延びているのがわかります。下の写真は、輪中堤(十連坊堤)の上から東を望んで撮ったものです。真中と中下、下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)







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