長良川下流沿いの地形と設備 その9 海津市平田町の大榑川洗堰跡 :海津市平田町勝賀、輪之内町大藪
長良川右岸堤防道路をさらに南進し、大藪大橋の下をくぐって再び堤防に上がる手前の右手(西側)にコンビニがあります。その駐車場の南から、堤防道路の下の道路に入り、南へ230mほど進むと、右側に「長良川大榑川締切跡」の表示板があります。
堰は川などをせき止める構造物ですが、その中でも洗堰は、堰の高さが固定されていて、堰の高さより水が増えると、水が堰の上を洗って流れるタイプのものを指します。ここに築かれていた洗堰は、洪水の時にだけ水が乗り越えられるようにした高さの低い堰で、宝暦治水における工事の一つとして、またその後の工事で築かれたものです(築かれた場所は若干異なります)。宝暦治水は、洪水を減らすために、堰や堤防を設けるなどして木曽三川をうまく分流させることを目的としたものです。本来河川は平地において、網状で流れることが多いです。この地域では、長良川の水が大榑川を使って揖斐川へ流れ込むこともあり、流域で氾濫が繰り返されていたようです。
8月4日「長良川下流沿いの地形と設備その5」でも書きましたが、濃尾平野は、養老山脈と濃尾平野の境界部にある断層(養老断層)の活動によって、平野全体が西へ傾きながら、堆積物を形成しています。そのため、濃尾平野の上を流れている木曽川・長良川・揖斐川は下流ほど西へ偏って流れています。平野の南西部では、その三本の川が互いに近づき、網状流路を形成しながら流れることになります。そして、木曽川と比べて西を流れる長良川や揖斐川により負担がかかり、氾濫が起こりやすくなっています。
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