長良川下流沿いの地形と設備 その10 木曽三川公園展望タワーから望む木曽三川 :海津市海津町油島の展望タワーから北と南を望む

県道23号の長良川右岸堤防道路を南下し、長良川大橋の西詰めまで来ると、その西に高さ65mの展望タワーがあります。その一帯が木曽三川公園で、現在はその公園の南端で長良川と揖斐川が接近し、そこより南はしばらくの間多数の松が植えられた堤防で境されています。千本松原と呼ばれる場所です。

展望タワーから見ると、木曽川、長良川、揖斐川が近付いているものの、一本ずつ区切られているのがわかります。河川は本来、傾斜が緩い場所を流れる際、網状になっていることが多いです。木曽三川も自然で流れている限りは、濃尾平野の下流では網状で流れ、氾濫する度に流路を変えていました。しかし、かなり頻繁に氾濫していたため、人は人工的に堤防を造ったり、堰を設けたり、水門を設けたり、溝を設けたり、近年では巨大なポンプを使って排水をしたりしてきたのです。

ここは、島津藩による宝暦治水の代表的な工事であった油島の締切工事の場所です。江戸時代には、この場所の上流で長良川は木曽川と合流し、旧木曽川(長良川と合流した木曾川なので旧木曽川としておきます)が揖斐川と接していました。そのため、宝暦治水の代表的な工事は、旧木曽川と揖斐川を堤防によって分ける工事でした。しかし、宝暦治水の中でも最も難工事といわれた工事で、多数の犠牲者が出ました。網状流路のように何本もの網目状の流路では、増水すると広い範囲で氾濫が起きてしまいます。そのため、まず三大河川の木曽川、長良川、揖斐川をできる限り一本ずつの河川として、流そうとしたのです。

 地質図において、木曽三川公園展望タワーの位置は×で示しました。地質図の左端の黄色、青色、空色、オレンジ色はいずれも美濃帯堆積岩類で、うす空色の記号ありは扇状地堆積物です。養老山地を構成している岩石と堆積物です。写真は5種類ありますが、上の写真は木曽三川公園展望タワーを撮ったもので、中上と真中、中下、下の写真は展望タワーから木曽三川を撮ったものです。中上の写真は北(上流側)を望んで撮ったもので、真中の写真は中上の写真の中央少し右を撮ったものです。中下の写真は南(下流側)を望んで撮ったもので、下の写真は中下の写真の中央を撮ったものです。中下と下の写真において、中央に写っているのが千本松原で、油島の締切工事の場所です。上と真中、下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。ただし、真中と下の写真において、右と左の写真は撮影時刻に数秒の違いがあるため、動いている車などは位置が異なり、その場所だけ見え方が変に感じますが、御了承ください。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)







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