板取川沿いの地質、露頭 その5 美濃市片知片知渓谷千畳岩の溶結凝灰岩 :美濃市片知の片知渓谷左岸露頭

片知渓谷は板取川の本流沿いではありませんが、溶結凝灰岩の見やすい露頭がありますので、紹介します。この露頭は、3年前の11月18日「板取川沿いの岩石その3」でも紹介しました。板取川やその支流沿いのところどころには、奥美濃酸性岩類と呼ばれる火山岩類が分布しています。岐阜県には、県の約1/4の面積を占めるほど巨大な濃飛流紋岩が分布しています。濃飛流紋岩の西側に分布する火山岩類が奥美濃酸性岩類です。奥美濃酸性岩類は、濃飛流紋岩よりも1500万年ほど若い時期に形成された岩体で、現在は美濃市北部、関市洞戸~板取、郡上市八幡町西部などの山頂や尾根上などの標高の高いところに点在するように分布しています。もとは現在分布するよりももっと大きな岩体であったと考えられますが、長い間に多くが浸食されてしまったようです。そのため、岩体の比較的深部が残されて、現在は7つの岩体に分かれて分布しています。

美濃市から関市洞戸に向かう県道81号美濃洞戸線は、板取川の左岸沿いを通っています。美濃市長瀬地区を越して進むと、板取川の支流である片知川を渡ります。渡ってすぐを右折し、片知川の上流に向かってしばらく車を走らせます。片知の集落を越えて、右折したところから7.2kmの左手に川へ下りる細い道がありますので、近くに車を止め徒歩で川へ下ります。以前はその場所に「千畳岩入口」の表示板がありましたが、現在はありません。右折したところから6.3kmのところに「片知渓谷遊歩道入口」の表示板がありますが、そこではなく、さらに0.9km進んだところです。川へ下りると、両岸や河床に岩石が露出していますが、奥美濃酸性岩類の洞戸岩体(7つの岩体の一つ)です。岩石名としては、溶結凝灰岩です。火山活動で噴出した大量の火山灰が、自らの重みと熱のために互いにくっつき合ってできた硬い岩石です。溶結凝灰岩には、長石や石英、黒雲母などの鉱物の他に、つぶれて扁平になった軽石(本質レンズと呼ぶ)や噴出時に取り込まれた美濃帯堆積岩類の破片(異質岩片と呼ぶ)が入っていることが多いです。

地質図において、片知渓谷の露頭地点(×地点)は黄土色に横線あり(OK3)の中にあり、黄土色に横線ありは奥美濃酸性岩類の洞戸岩体の上部層(高賀山層・片知山層)です。写真は五種類ありますが、上の写真は南東からパノラマで撮ったもので、その中央付近を撮ったものが中上の写真です。真中の写真は、上の写真(または中上の写真)のハンマー付近を近づいて撮ったものです。中下の写真は上の写真に写っているハンマーの下付近を北東から撮ったもので、下の写真は同じ場所を近づいて撮ったものです。1cm~5cm径の黒~暗緑灰色の泥岩の破片(異質岩片)が多く入っているのがわかります。スケールとして置いてあるハンマーと定規の長さは、それぞれ約28cmと約17cmです。中上と真中、中下の写真は、同じような写真が2枚並んでいますが、それぞれの写真の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)







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