都市(名古屋)で見られる化石 その3 :地下鉄名古屋駅8番出入口(下り、上り)階段の壁

 前回、前々回で、名古屋地下鉄9番出入口階段の壁を紹介しました。今回は8番出入口階段下りと上りの壁を紹介します。石材は9番出入口階段の壁と同じで、ドイツ産のジュラマーブルイエローです。アンモナイト、ベレムナイト、海綿動物、有孔虫などの化石が多く入っています。

海綿動物は英語では「Sponge」と言います。化粧用品の天然のスポンジは、海底から採集した海綿動物です。また、食器洗いに用いるスポンジは、海綿動物の体の構造に似せて作られたものです。海綿動物は多細胞生物ですが、最も原始的であると言われています。海綿動物は、海底の岩や生物の遺骸などに付着して生活しています。体の外形はさまざまで、つぼ状、杯状、円筒状などをしています。体壁や体の内部には小さな穴や隙間がたくさんあり、頂上部分は大きく口が開いているという特徴があります。海綿動物の内側の体壁には鞭毛(べんもう:毛状をした細胞の器官)をもつ細胞がたくさん並んでいて、この細胞が鞭毛を動かして水流を生み出し、その水流によって体壁の小さな穴から水と共に浮遊する有機物を取り込んで生きているのです。そして、体の中央部で栄養物を吸収して、残りを頂上部分に開いた穴から排出するようです。


写真は6枚ありますが、いずれも地下鉄8番出入口階段の壁の写真です。上3枚の写真は下り階段の壁を、下3枚の写真は上り階段の壁を撮ったものです。上から4枚目までの写真はアンモナイトで、下から2枚目はベレムナイト、一番下は海綿動物です。ベレムナイトは中生代白亜紀末に絶滅した軟体動物の仲間の頭足類で、形態的には現在生きているイカに似ています。体の背部から先端にかけてやじり型の殻をもっていて、それが化石として残ります。また、いずれの写真にも写っている細かい白っぽい点状のものは、有孔虫という微生物です。スケールがついていますが、指を一緒に撮った写真から長さを読み取ってつけたものですから、正確さはやや欠けます。







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