都市(名古屋)で見られる化石 その9 :名鉄バスセンターへ至る階段手すり、壁
名鉄バスセンターは名鉄百貨店(メンズ館)の3階、4階にありますが、東側からはエスカレーターに乗ればすぐに着きます。エスカレーターに乗らずに、隣の階段で上がると、下から8段目あたりの手すりの位置に、半分ほど切れたベレムナイトの化石が見られます。また、その手すりの壁には、ベレムナイトの断面が複数見られます。ただし、ベレムナイトの化石といっても、化石として残っているのはやじり型の殻です。石材は、イタリア産のロッソ・コレマンディーナのようです。
ベレムナイトは、白亜紀末に絶滅した軟体動物の頭足類で、現生のタコやイカの仲間です。形的にも現生のイカに似ています。ベレムナイトは、体の背部から先端にかけてやじり型の殻をもっていて、このやじり型の殻が化石として残りやすいのです。中生代のジュラ紀~白亜紀にかけて繁栄しており、中生代の海に堆積した地層からアンモナイトとともに大量に産出します。絶滅の時期も、アンモナイトと同様に白亜紀末です。日本では北上山地のジュラ紀~白亜紀の地層から産出するようですが、欧米に比べると産出が極めてまれなようです。ヨーロッパでは、やじり型の殻だけでなく、軟体部の輪郭まできれいに保存されたベレムナイトの化石が見つかっていて、やじり型の殻に比べてはるかに大きな流線型の体と大きな眼をもっていたことがわかっています。
写真は5枚ありますが、いずれも名鉄バスセンターへ至る階段の手すり、壁の写真です。上と中上の写真は同じベレムナイトを撮ったものですが、下から8段目あたりの手すりの位置にあるベレムナイトの斜めの断面(半分ほど切れていますが)です。真中と中下、下の写真は手すりの壁にあるベレムナイトの斜めの断面または横断面です。真中の写真は下から15段目、中下の写真は下から27段目あたり、下の写真は下から36段目あたりの壁を撮りました。小さいので見つけにくいですが、ベレムナイトのやじり型の殻は白いのでわかると思います。スケールが入った写真が4枚ありますが、スケールは指を一緒に撮った写真から長さを読み取ってつけたものですから、正確さはやや欠けます。
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