都市(名古屋)で見られる化石 その10 :近鉄名古屋駅から近鉄パッセへ下りる階段横の壁
今まで紹介したようにビル街で化石が入っている石材は、ドイツ産のジュラマーブルイエローやトルコ産のクレマヌォーバ、イタリア産のアウリジーナ・フィオリータなどの外国産ばかりです。しかし、国産の石材も見られます。近鉄名古屋駅から近鉄パッセへ下りる階段横の壁には、所々に穴の開いたうすベージュ色の石材が使われていますが、その石材は鹿児島県大島郡知名町(沖永良部島)田皆が産地の田皆石(たみないし)と呼ばれる石灰岩です。田皆石は数十万年前、地質年代としては第四紀更新世に、琉球列島の島々の周りに形成されたサンゴ礁が石灰岩となったもので、琉球石灰岩と呼ばれます。緻密な部分が石材として使われ、二枚貝や巻貝の化石を多く含むようです。
サンゴ礁は、暖かく濁りのない澄んだ浅い海に形成され、おもにサンゴや貝類、有孔虫、石灰藻などの石灰質の遺骸が長い時間をかけて積み重なり、海面近くまで高くなった地形です。そこには多くの魚や生き物がすみ、豊かな生態活動の場所となっています。そのサンゴ礁が固結したものが石灰岩です。そのため、石灰岩はサンゴ礁が形成された当時の生き物の遺骸が詰まった、まさに全体が化石と言ってよいものです。
写真は6枚ありますが、いずれも近鉄名古屋駅から近鉄パッセへ下りる階段横の壁の写真です。上の写真は、壁を階段の上から斜めに撮りました。上から2番目、3番目の写真は、階段の下から5段目あたりの壁の写真です。上から4~6番目の写真は壁のほかの部分です。いずれも巻貝の写真だと思いますが、いずれも小さいです。一番上の写真以外はスケールを示しましたが、指を一緒に撮った写真から長さを読み取ってつけたものですから、正確さはやや欠けます。
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