板取川沿いの地質、露頭 その30 関市洞戸尾倉右岸の破断した砂岩泥岩互層中の混在岩 :関市洞戸尾倉右岸河床露頭(「板取川沿いの地質、露頭その29」の下流200mほど)

 前回「板取川沿いの地質、露頭その29」で紹介した破断した砂岩泥岩の露頭から下流へ200mほど進んだところの露頭を紹介します。泥岩の中にチャートと砂岩の礫がレンズ状に入った露頭です。「板取川沿いの地質、露頭その29」に紹介した破断した砂岩泥岩互層の露頭は、下流にほぼ連続して露出しています。破断した砂岩泥岩互層は、砂岩泥岩互層が何らかの力を受けて砂岩層が見かけ上レンズ状になったり、ちぎれた状態になったりしたものです。そのため、泥岩の中に砂岩が断片的に礫として入っているように見えます。

ここの露頭も、泥岩の中にほかの礫がレンズ状に入っているのですが、互層とは異なる点が2つあります。ひとつは、レンズ状の礫が砂岩だけではなく、チャートも入っていることです。そしてもうひとつは、レンズ状の礫を埋めている基質の部分が泥岩だけではなく、黒色の泥岩と少なめの灰色をした砂岩が混ざったものになっていることです。そのため、ここの岩石を混在岩と表現しました。入っているレンズ状の礫(砂岩とチャート)の大きさは、見かけ上幅が数cm~8cmで、長さが15cm~50cmのものが多く、最大は幅8cmで長さ77cmです。基質の部分は割れ目が発達していて、入っているレンズ状の礫の向きも割れ目の向きに調和的です。走向傾斜を測ってみると、N35°Eで、25°~40°Wです。

地質図において、×地点が露頭の位置ですが、白色(a)の中にあり、白色は第四紀の堆積物です。周囲はうす茶色(Mal)が広く分布していて、砂岩泥岩互層からなる地層です。第四紀の堆積物の下に分布している美濃帯堆積岩類が露出しているのです。写真は五種類ありますが、上の写真は混在岩と表現した露頭を南からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央付近を撮ったものです。真中の写真は上の写真(または中上の写真)に写っているハンマー付近を近づいて撮ったものです。ハンマー頭部の上、グリップ部の左のレンズ状の礫はチャートです。ハンマー頭部の左の長いレンズ状の礫は砂岩で、幅が8cm、長さが77cmです。真中の写真とほぼ同じ場所を西(左側)から撮ったものが中下の写真です。下の写真はほかの場所を南から撮ったものですが、定規の右に写っている2つのレンズ状の礫はチャートです。スケールとして置いてあるハンマーと定規の長さは、それぞれ約28cm、約17cmです。中上と真中、中下の写真は、同じような写真が2枚並んでいますが、写真の下の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)







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