板取川沿いの地質、露頭 その31 関市洞戸尾倉右岸の破断した砂岩泥岩互層の熱変成 :関市洞戸尾倉の集落の北東右岸露頭

前々回「板取川沿いの地質、露頭その29」で紹介した露頭は、尾倉消防団の車庫の脇から川原へ下り、下流に進むとありますが、今回は同じところを下り、川原を上流に向かって進みます。上流へ100m弱進んだところの崖の露頭です。破断した砂岩泥岩互層が熱変成していると思います。

板取川も長良川本流と同様に、主に美濃帯堆積岩類の中を流れています。ただし、板取川やその支流沿いには奥美濃酸性岩類が分布していて、過去に火山活動があったことを示しています。特に、高賀地区には花崗岩が広く分布しており、その熱の影響を美濃帯堆積岩類も受けています。地質図を見ると、右上の濃いピンク色が花崗岩ですが、現在の地表からしても花崗岩の端から露頭まで1.8kmほどです。

この露頭は河床露頭ではなく、崖の露頭ですが、節理面が2方向に顕著に見られます。一つは北北東-南南西に軸をもち、東南東に20°ほどの傾斜です。またもう一つは東北東-西南西に軸をもち、北北西に40°ほどの傾斜です。ハンマーでたたくと、硬く、金属音を出します。熱変成を受けているためだと考えられます。風化面を見ると、暗青灰色の泥岩層中に灰色の砂岩がレンズ状に入っているのがわかります。

 地質図において、×地点が露頭の位置ですが、白色(a)の中にあり、白色は第四紀の堆積物です。周囲はうす茶色(Mal)が広く分布していて、砂岩泥岩互層からなる地層です。第四紀の堆積物の下に分布している砂岩泥岩互層が露出しているのです。写真は五種類ありますが、上の写真は北東からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央付近を撮ったものです。真中の写真は、上の写真(または中上の写真)に写っているハンマー付近を近づいて撮ったものです。中下の写真は、岩石の表面で見やすいところを北上から撮ったもので、暗青灰色の泥岩の中に灰色の砂岩が入っています。レンズ状であったり、ちぎれた形状であったりします。写真の縦は4cmです。下の写真は割った面を接写したもので、写真の縦は2.5cmです。スケールとして置いてあるハンマーの長さは約28cmです。中上と真中の写真は、同じような写真が2枚並んでいますが、写真の下の黒丸または白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)







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