板取川沿いの地質、露頭 その32 関市洞戸尾倉と阿部の境界付近の珪灰石 :関市洞戸尾倉と阿部の境界付近の右岸河床露頭

 2020年12月1日「板取川沿いの岩石その11」で紹介した洞戸尾倉の北(尾倉と阿部の境界付近)で見られる珪灰石を再度紹介します。板取川沿いには長良川本流沿いと同様、主に美濃帯堆積岩類が分布しています。そのため、長良川本流沿いに分布する岩石と同様のものが露出しているはずです。しかし、板取川沿いの岩石は近くに分布する奥美濃酸性岩類による高熱の影響を受けているため、岩石中の鉱物が変化していることがあります。その結果、長良川本流沿いとは異なる岩石、鉱物が露出している場所があります。

関市洞戸事務所東の国道256号を北進し、洞戸尾倉の集落を越したところに尾倉消防団の車庫があります。そこを越え、800mほど進むと、右側の道路わきにスペースがあり、川原へ下りる細い道があります。尾倉と阿部の境界の表示板の100mほど南(手前)です。川原へ下りると、岩石が露出していますが、全体的にはチャートです。ただし、奥美濃酸性岩類による接触変成作用(熱変成作用)のため、チャートは高熱により再結晶し、より硬いホルンフェルスになっています。中には、より白っぽくなっている岩石がありますが、よく見ると白い鉱物が繊維状に入っているのがわかります。この繊維状の鉱物は珪灰石です。珪灰石は石灰岩(CaCO)に珪酸(Si)が加わってできた変成鉱物(スカルン鉱物)です。ふつうは繊維状の塊で、色は白色です。

地質図において、×地点が露頭の位置ですが、オレンジ色(Mch)の中にあり、オレンジ色はおもにチャートからなる地層です。写真は五種類ありますが、上の写真は露頭を北からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央上の部分に近づいて撮ったものです。真中の写真は中上の写真(または上の写真)に写っているハンマー頭部の左上をより近づいて撮ったもので、白く繊維状に写っているのが珪灰石です。中下の写真は、上の写真の露頭から北へ15mほど離れたところにある露頭を南から撮ったものです。露頭の下部は白っぽく写っていますが、珪灰石です。下の写真は珪灰石を接写したもので、写真の縦は3cmです。スケールとして置いてあるハンマーと定規の長さは、それぞれ約28cmと約17cmです。中上と中下の写真は、同じような写真が2枚並んでいますが、写真の下の●を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)







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