板取川沿いの地質、露頭 その59 板取白谷下白谷橋下流左岸の溶結凝灰岩 :関市板取白谷の下白谷橋下流100m弱左岸河床露頭

 前回「板取川沿いの地質、露頭その58」で紹介した溶結凝灰岩の露頭から上流は、しばらく同様の火山岩が分布します。ここ一帯の凝灰岩は大規模火砕流が堆積して、大規模ゆえに自らの重さと熱によって、ガラス質のもの(火山灰や軽石など)が再度やわらかくなって密接にくっつき合い冷え固まった岩石です。この作用を溶結作用と呼びますが、その溶結作用によって硬くなった凝灰岩が溶結凝灰岩です。

研究によると、この場所の北東~南東、部分的に南に分布する溶結凝灰岩は 洞戸岩体と呼ばれ、かつてカルデラに厚く堆積した火山岩だと考えられています。一方、北西に不定形をして分布する溶結凝灰岩などは板取岩体と呼ばれ、噴出した際にカルデラ内から外へあふれ出た火山岩だと考えられています。(下の地質図参照、×地点が露頭の位置)

ここの露頭には、平面形では楕円形の本質物(ここに分布する凝灰岩の一連のマグマから形成された物質)と思われるものが複数確認できます。可能性としては、ガスの抜け穴だったところが埋まったもの、火砕流の一部が楕円形(回転楕円体)となり入ったもの、火砕流が堆積して冷却中または冷却後に結晶化し楕円形に成長したものというのが考えられます。今のところ何かはわかりません。ただし、火砕流の一部が楕円形となり入っているとすると、溶結凝灰岩ではなく、溶結していない凝灰岩(非溶結の凝灰岩)と判断できます。

露頭では、楕円形の本質物は6個ほど確認でき、大きさは長径が10数~20数cmで、短径が8~15cmです。最大のものは24cm×13cmで、真中の写真のハンマーのグリップ部左下に写っているものです。

地質図(上、詳細地質図)において、×地点が露頭の位置ですが、淡褐色の横線あり(OK3)の中にあり、奥美濃酸性岩類の洞戸岩体中の溶結凝灰岩が分布しています。写真は五種類ありますが、上の写真は南東から露頭をパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央付近を撮ったものです。真中の写真は上の写真(または中上の写真)に写っているハンマーの左を近づいて南から撮ったもので、ハンマーのグリップ部左下に写っているものが楕円形の本質物です。中下の写真は同じく楕円形をした本質物2個を南から近づいて撮ったもので、この2つの本質物は中上の写真では写真の左端に写っているものです。下の写真は、中下の写真の右上の本質物をより近づいて撮ったものです。色は周りとやや違いますが、含まれている鉱物の大きさや量は違いがありません。中上と真中の写真は、同じような写真が2枚並んでいますが、写真の下の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)








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