板取川沿いの地質、露頭 その60 板取白谷下白谷橋上流左岸の溶結凝灰岩 :関市板取白谷の下白谷橋上流50m弱左岸河床露頭
関市板取白谷の下白谷橋の周辺には駐車場が何箇所もあります。この駐車場は、クロード・モネが描く「睡蓮」に似た景色を眺めることができるということで、全国的に有名になった名もなき池(通称モネの池)へ行くための駐車場です。
その下白谷橋の上流側(北側)にも、河床に溶結凝灰岩の露頭があります。この露頭には、数cm径の円~楕円形のものが所々に含まれます。
マグマの粘性が高く、カルデラを伴う大規模噴火の場合、噴出後、火山ガス、バラバラになった火山ガラスや鉱物、火山ガスを含み液体状のもの(冷え固まると軽石)などが混ざり合って高速で移動し、堆積します。このような噴出物を火砕流、堆積したものを火砕流堆積物と呼びます。高速で移動後、堆積するわけですが、大量の噴出物であるため、全体的に重く、高熱が残っています。そのため、堆積後、一度空中に放出され冷えた火山ガラスや軽石は全体が高温であるためやわらかくなり、自らの重さでつぶされるのです。この作用のことを溶結作用と呼びます。その際に、火山ガスは空中に抜けますが、抜けるための道の痕跡が残るはずです。ここの露頭では、数cm径の円~楕円形のものが見られますが、ガスの抜け道の痕跡かもしれません。
地質図において、×地点が露頭の位置ですが、淡褐色の横線あり(OK3)の中にあり、OK3は奥美濃酸性岩類の洞戸岩体です。写真は五種類ありますが、上の写真は南からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央少し右を撮ったものです。真中の写真は、上の写真(または中上の写真)に写っているハンマー付近を近づいて撮ったものです。ハンマーの頭部の上に、外側が白い円形状のものが写っていますが、ガスの抜け道の痕跡と考えられるものです。それに近づいて撮ったものが中下の写真です。下の写真は、他の場所で見られた円形のものを撮ったものです。中下に写っているものとは異なり、暗緑灰色~青灰色をしています。中上と真中の写真は、同じような写真が2枚並んでいますが、写真の下の黒丸または白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)
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