露頭と立体視その4(砂岩泥岩互層の立体写真)
砂岩泥岩互層は、砂岩層と泥岩層が交互に堆積している地層です。美濃帯堆積岩類中にも多く見られ、長良川沿いでは郡上市大和町で広く観察される地層です。簡単な実験でつくれるのですが、砂と泥を混ぜたものを透明で水の入った容器に流し込むと、下に砂が堆積し、その上に泥が堆積します。砂の層の上に泥の層がのった状態になります。砂と泥を混ぜたものを水の中に入れると、砂は早く堆積し、泥の層はゆっくり堆積するので、砂の層と泥の層が分かれたような状態になるのです。泥の層が堆積したところで、再度砂と泥を混ぜたものを流し込むと、前に堆積した泥の層の上に砂の層が、その上に泥の層が堆積します。つまり、下から見ると、砂の層→泥の層→砂の層→泥の層となります。これが砂泥互層で、固くなり岩石になると、砂岩泥岩互層となるのです。ここで、注意しなければならないのは、砂の層→泥の層の境界部は砂の粒がだんだんと細かくなり泥の粒に変わるのですが、泥の層→砂の層の境界部は急に細かい泥の粒から砂の粒に変わることです。この実験は、小学校6年生の理科で行われる基本的な実験です。
現実的には、川から流れ出した砂や泥が海に堆積します。その状態では、流れのため砂や泥が交じり合っていることが多いですが、その砂と泥が混じっている堆積物がより深い海へ移動した場合、水の中の作用によって砂が下、泥が上にわかれて堆積し、それが繰り返すことによって砂泥互層となるのです。
写真は2種類ありますが、いずれも郡上市大和町河辺森の長良川左岸沿いの露頭で、砂岩泥岩互層を近くから撮ったものです(ハンマーの長さは約28cm)。上の写真は普通に撮ったもの、下の写真は立体視ができるように撮ったものです。白っぽい層と黒っぽい層がありますが、白っぽい層は砂岩層で、黒っぽい層は泥岩層です。露頭では、砂岩層と泥岩層の硬さの違いから浸食の違いが見られ、砂岩層が凸で、泥岩層が凹になりやすいです。立体的には見えない上の写真でも、白っぽい砂岩層が手前に出ているように見えます。しかし、それは白色が膨張色であるため、目の錯覚により手前に出ているように見えるためです。下の写真の下方にある●は立体視の補助となる丸で、左右の●が重なるように見ることができれば写真全体が立体的に見えます。立体視で見られると、凸凹の部分がわかると思います。
砂岩泥岩互層の観察で大切なことは、前述しましたが、地層を下から上に観察した場合、砂の層→泥の層の境界部は砂の粒がだんだんと細かくなり泥の粒に変わるのですが、泥の層→砂の層の境界部は細かい泥の粒から急に粗い砂の粒に変わることです。下の写真で、ハンマーの柄の部分(青色の部分)の上部あたりに、下は泥岩層で上は砂岩層の境界部があります。境界部が明確で、凸の砂岩層と凹の泥岩層がわかります。また、ハンマーの頚部(銀色の部分)の真中あたりに砂岩層(下)と泥岩層(上)の境界部がありますが、砂岩層と泥岩層の薄い層が何枚かはさまっています。この露頭は、写真の下方が地層の下方であり、地層は写真の下方から順番に堆積していることがわかります。
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