露頭と立体視その2(露頭の立体写真)

 露頭は、地層や岩石が地表に露出しているところを指します。一般には、崖や海岸および川岸の土手などで見られます。河川は運搬や堆積以外に浸食の場でもあるため、河川沿いには地下や側方の岩石が露出することが多いです。また、露出した岩石は流水で洗われ、全般的にきれいになっています。そのため、河川沿いは露頭が多く、かつきれいで見やすくなっている場合が多いです。

露頭の立体視はどうでしょうか。立体的に見える(浮き出て見える)ので、リアルであったり、見栄えがしたりするという面はもちろんあります。それだけではなく、露頭は地質現象が現れている場所なので、立体視によって表面の凸凹を肉眼より強調して見ることによって、その地質現象をよりわかりやすくとらえられる場合があるのです。わずかな差別浸食(砂岩泥岩互層、チャート石灰岩互層)、石灰岩内のカレンなどの溶食地形、節理(方状節理、柱状節理)、甌穴、足跡化石、漣痕やソールマークなど岩石表面の凸凹が表現できます。だから、他の人に露頭で見られる地質現象を説明する場合、立体感を示したり、強調して凸凹を示したりすることができます。ただし、立体視による立体感を知覚できない人は、1~2%程度は存在すると言われています。そのため、この立体視は全員ができるものではないことを理解しておく必要はあります。

露頭の撮影は、立体視と相性がよいと考えます。特別なカメラ(立体視用カメラ)を使うことなく、普通のカメラで2回撮影による立体写真を撮るためには、被写体が動いていないことが第一条件です。また、露頭撮影では数mから10数m離れたものを撮るので、右眼用の写真と左眼用の写真で10cm程度離して撮影すればよいです。立体視は、一つの被写体の中に遠近の異なるものが複数あると見にくくなったり、合わせにくくなったりしますが、露頭は一つの塊のものが多いので(もちろん連続露頭はありますが)、立体視としては複雑ではないです。ただし、川原の複数の礫(石ころ)や樹木などの植物も入るとやや複雑になり、見にくくなる、もしくは合わせにくくなります。また、露頭の前に近景のもの(木の枝や背の高い草など)があると立体視の邪魔になります。

チャート石灰岩互層は浸食の違い(「差別浸食」と言います)から、露頭においてチャート層より石灰岩層が強く浸食を受け、チャート層は凸で石灰岩層は凹となっています。写真は2種類ありますが、いずれも関市洞戸栗原の洞戸キャンピングセンター左岸の河床露頭を撮ったもので、チャート石灰岩互層です。平面写真(上の写真)で見ても、チャート層(黒っぽい色)と石灰岩層(白い層)の凸凹はなかなかわかりません。むしろ、白い石灰岩の方が凸のように見えるかもしれません。それは目の錯覚により、白色は浮き出て見えたり、膨らんで見えたり、広がって見えたりするためです。しかし、下の立体視用の写真で見ると、白い方が凹んでいるのがわかります。露頭での立体を表現するには、立体視ができる写真が有効なのです。(下の写真で、下方にある白丸は立体視の補助となる丸で、左右の白丸が重なるように見ることができれば写真全体が立体的に見えます。)



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