一枚の写真から その2 チャート層と崖

上の写真は、岐阜城がそびえ立つ金華山~洞山を南から(岐阜市北一色あたりから)撮った1枚です。金華山~洞山はチャート層からできていて、全体的に木々に覆われていますが、垂直に近い部分では崖が形成されていて、岩石が露出しています。写真では淡灰褐色~灰色をした部分がチャートの崖です。

チャートは、陸地の砂や泥などが届かないような深海底で堆積したものがもとになっています。具体的には、ガラス質の殻をもった微生物(放散虫など)が堆積し、固まったものです。ガラス質のものがくっつき、固まったものであるため、硬く浸食されにくい岩石です。岐阜市から北西の美濃市にかけては、チャート層と砂岩層が隣り合って分布することがあり、そのようなときには、チャートは浸食されにくく、砂岩は浸食されやすくいという特徴が地形に現れます。チャート層は高く険しい山地を構成し、砂岩層は低くなだらかな山地を構成するのです。岐阜市や美濃市の割と高い山頂をもつ山は、チャート層でできているものが多いです。チャート層と砂岩層が隣り合って分布し、1つの山を構成する場合でも、山頂はチャート層でできているようです。砂岩と比べてチャートは浸食されにくいため、高い山地として残るのです。

しかし、チャートも浸食しないわけではありません。チャートは硬いけれど、けっこうもろいです。表面から風化するというより、直方体でくずれるのです。例えば、チャートをハンマーで叩き割ろうとすると、直方体のような形で細かく割れることが多いです。また、ガスバーナーなどで熱して、水で冷やすということを繰り返すと、直方体で割れてしまいます。このようにチャートは硬いですが、縦横に割れ目が入っていてもろいのです。割れ目については、チャート層は付加体として陸地にくっついたもので、プレートの動きにしたがって、外から力を受け続けていることに起因しているのだと考えられます。チャート層が分布する山地では階段状の地形をなすことがありますが、直方体で割れやすいことが関係しているのでしょう。そのため、垂直の崖もつくり出しやすいのだと考えられます。逆に言えば、垂直の崖が見られるのがチャートの山の目印と言ってもよいのでしょうか。もちろん、ほかにも火山岩の節理のように崖を作り出しやすい岩体はありますが。

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