一枚の写真から その10 見事な枕状溶岩

 

上の写真は、岐阜県郡上市八幡町浅柄の長良川右岸の河床露頭を撮ったものです。対岸の道路は国道156号で、そのほぼ上を長良川鉄道が通っています。河床露頭では、楕円形の岩石がいくつも組み合わさっているのがわかります。スケールとして置いてあるコンベクスは1mです。この露頭の岩石は玄武岩質溶岩で、平面では楕円形ですが、実際には枕のような形をしているということで、枕状溶岩と呼ばれます。この形が形成されるのは、溶岩の噴出した場所が空気中ではなく水中のためです。溶岩は水と接触すると、外側が急冷し殻をつくります。しかし、内部がまだ熱いため、溶岩は外側の殻を突き破り、まるで歯磨き粉がチューブから搾り出されるように出てくるのです。すると、水によって外側が急冷し殻ができ、再び内部の熱い溶岩が殻を突き破って出てくる…ということを繰り返して、形成されたのです。だから、この枕状溶岩が見られると、水中で噴出したということがわかるのです。

この露頭は以前から見つけられていたのかもしれませんが、私が長良川沿いを歩いて見つけたのは200437日です。八幡町浅柄から貝付にかけて、美濃帯堆積岩類の玄武岩が分布しているのは知られていましたので、玄武岩の見やすい露頭がないか川沿いを歩いていると、浅柄地区のゴミステーションを川へ降りたところに枕状溶岩の見事な露頭が見られたのです。そして、20117月に出版された「みのひだ地質99選(岐阜新聞社発行)」にこの露頭を紹介しました。

長良川沿いで一番見事な枕状溶岩です。202412月に出版された「楽しい溶岩図鑑(小白井亮一著、草思社)」には、日本各地の代表的な枕状溶岩が何箇所か載っており、古い枕状溶岩としてここの露頭が最初に紹介されています。国道156号からも、長良川鉄道からも見ることができる露頭で、見事な枕状溶岩が見られる割にはアクセスのよい場所です。

同じ露頭に少し近づいて撮ったもの

長良川鉄道から見た露頭 八幡町浅柄対岸枕状溶岩上り深戸駅出発後約150秒の位置

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