一枚の写真から その11 玄武岩のハイアロクラスタイト


 この写真は、岐阜県美濃市上河和の長良川左岸沿いで見られる露頭を撮ったものです。玄武岩質岩石ですが、中に多くの角礫状の岩石が入っていて、全体的に同じ色をしているのがわかります。高温のマグマが十分な量の水に急に接すると、急激に冷却し、収縮しばらばらに破砕され、そして固結します。このようにしてできた岩石をハイアロクラスタイトと呼びます。高温の玄武岩質マグマが水中に噴出した場合、主に岩塊として形成したものが枕状溶岩で、主に破砕された破片などが堆積して形成したものがハイアロクラスタイトです。

急激に冷却し、破砕されたため、入っている礫状の岩石(玄武岩)はすべて角礫で、角礫を埋めている部分もすべて玄武岩です。このハイアロクラスタイトが見られると、枕状溶岩と同じように、高温のマグマが水中で噴出したことがわかります。

ハイアロクラスタイトは日本語では水冷破砕岩、水砕岩となりますが、ハイアロクラスタイトと呼ばれることの方が多いようです。水によって急冷し、壊されたものが中に入っているため、一般的な礫岩とは異なり、礫の部分も基質の部分も同じ岩石です。そのため、肉眼では確認できても、写真ではなかなかはっきりとは写りにくいものです。上の写真はバラバラになった玄武岩がわかりやすいと思って載せましたが、いかがでしょうか。下の写真は、同じ露頭を少し離れて撮ったものです。

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