一枚の写真から その9 変形構造であるブーディン構造

 

上の写真は、岐阜県関市洞戸栗原と飛瀬の境界部付近にある露頭の一部を撮ったものです。板取川沿いの右岸露頭で、全体的には層状チャートです。ここの層状チャートは、チャート層の間にはさまっている泥岩層が厚いです。チャート層は白色~淡青灰色をしていて、数cm~10cmほどの厚さです。間にはさまる泥岩層は灰色(部分的に暗青灰色)をしていて、1cm~15cmほどの厚さです。よく見かける層状チャートとは異なり、チャート層の部分が途切れたり、変形したりしています。

この写真では、白っぽいチャートが横に連なるウインナーソーセージのようになっています。このような連なったソーセージのように見える構造のことを、フランス語でソーセージを指すブーディンをとって、ブーディン構造と言います。層状チャートは本来チャート層と泥岩層が交互に積み重なったものですが、この露頭では地層面に平行な引張力(ひっぱりの力)によって、割合硬いチャート層が引きちぎられ、その間を流動性のある泥の層が埋めたと解釈できます。チャート層の間に挟まる泥岩層がまだ固結していない時の変形だと思われます。

露頭の他の部分では、下の写真のようなところもあり、チャート層が変形しているのがわかります。変形したチャートの間を泥岩層が埋めていますので、ブーディン構造と同様に泥岩層はまだ固結していない流動可能な状態の時の変形でしょう。


露頭全体をパノラマで撮ったもの

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