津保川沿いの岩石 その2(関市神野下日立:花崗斑岩と泥岩)

 

津保川沿いでも長良川沿い、板取川沿いと同様に、美濃帯堆積岩類を貫くように、花崗斑岩などの貫入岩が露出しています。長良川やその支流で見られる花崗斑岩などは、美濃帯堆積岩類が大陸に付加した後に、長良川の東側に広く分布する濃飛流紋岩や西側に分布する奥美濃酸性岩類に関連したマグマの一部が貫入し、冷え固まった岩石です。

9月28日の「長良川沿いの花崗斑岩その2」で紹介しましたが、貫入された岩石(泥岩)との接触部付近では花崗斑岩の斑晶(鉱物の粒)は細粒で、少し離れている花崗斑岩の斑晶は大きいという状況が見られます。他の岩石との接触部付近で斑晶が細かい部分を急冷周縁相と呼びますが、急冷周縁相では少し離れたところで見られるような1cm以上ある長石の斑晶は一切見られません。それは以下のような理由によります。冷え固まる前の花崗斑岩は、液体状で流れて移動しています。泥岩との接触部では低温と摩擦のため低速になりますが、接触部から離れているところは高速のままです。すると、高速である方に大きな結晶が引っ張られて移動するのです(このことをバクノルド効果と言うようです)。

県道58号関金山線で西神野郵便局を越え、しばらく北進すると、神野交差点があります。さらに900mほど進むと左側に自動車整備工場がありますが、その先の右側にある橋を右折して渡ります。渡ってすぐを右折し、約40mほどで右側に空き地があります。川へ下りる細い道をたどり川へ下ります。黒っぽい泥岩と白っぽい花崗斑岩が津保川左岸に露出しています。対岸にも花崗斑岩が露出しています。

写真が四種類ありますが、上の写真は花崗斑岩を少しはなれて南から撮ったもので、中上の写真は近づいて撮ったものです。中下の写真は花崗斑岩を接写したもので、写真の縦は5cmです。下の写真は泥岩と花崗斑岩との接触部を撮ったもので、左側が泥岩で、右側のスケールがある方が花崗斑岩です。スケールは20cmです。上と中上、下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、写真の下にある左の●と右の●を重なり合わせるように見ると立体的に見えます。





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