板取川沿いの地質、露頭 その56 板取大橋上流右岸の珪長岩(フェルサイト) :関市洞戸と板取の境界部に架かる板取大橋の上流100mほどの右岸河床露頭
関市洞戸と板取の境界部に架かる板取大橋の近くに車を停め、板取大橋の手前を西へ入る道(旧道)を150mほど進み、右手にある小道に沿って川原へ下ります。上流に向かうところに露頭があり、風化した面ではわかりにくいですが、ハンマーで割ると細粒の火成岩であることがわかります。露頭の表面で見やすいところ(中下の写真)を見ると、1mm以下の白っぽい鉱物(斜長石)は確認できます。割った面では全体的に淡灰色~淡緑灰色をしています。岩石としては、珪長質の貫入岩で、鉱物が肉眼で確認できないほど細かい部分が多いので珪長岩(フェルサイト)だと思います。
板取川沿いでは、長良川沿いとは異なり奥美濃酸性岩類と呼ばれる火山岩類や花崗岩類が見られます。その火山活動の一環で、マグマがそれ以前に堆積した岩石(ここでは美濃帯堆積岩類)を貫いて、地表へ出ることなく地下で冷え固まることがあります。その貫入岩の一つがこの露頭で見られる珪長岩です。
地質図において、×地点が露頭の位置ですが、付近にはうす茶色(Mal)、オレンジ色(Mch)、黄土色に横線あり(OK3)が入り組んで分布しています。うす茶色とオレンジ色は、美濃帯堆積物の砂岩泥岩互層とチャート層です。うす茶色に横線ありは、奥美濃酸性岩類中の火山岩類です。×地点には貫入岩である珪長岩が露出していますが、規模は小さく地質図には表現してありません。写真は五種類ありますが、上の写真は北東からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央付近を撮ったものです。真中の写真は、上の写真(または中上の写真)に写っているハンマー付近を近づいて撮ったものです。中下の写真は露頭の表面で見やすいところを接写したもので、写真の縦は3cmです。1mm以下の白い粒は斜長石だと思います。下の写真は珪長岩の割った面を接写したもので、写真の縦は同じく3cmです。中上と真中の写真は、同じような写真が2枚並んでいますが、写真の下の黒丸または白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)
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