板取川沿いの地質、露頭 その26 関市洞戸栗原と飛瀬の境界付近の珪質粘土岩 :関市洞戸栗原と飛瀬の境界付近の左岸河床露頭

 前回「板取川沿いの地質、露頭その25」の対岸少し上流に、黒っぽい岩石が河床に露出しています。露出しているのは珪質粘土岩で、珪質泥岩を伴っています。珪質泥岩が多い部分もあり、全体的に黒っぽく見えます。

美濃帯堆積岩類の中の珪質粘土岩は、粘土鉱物からなる岩石です。チャート層に伴って存在し、中に黒色の珪質泥岩をはさむことを特徴としています。調査研究によって、中生代三畳紀の層状チャートの基底部に存在することがわかっていて、三畳紀初期において酸素が少ない状態の海洋で堆積したものだと考えられています。ここの露頭は、板取川に沿って左岸河床に幅8mほど、長さ30m弱にわたって露出しています。上流側(西側)には珪質泥岩が多くを占めている部分がありますが、1cm~5cm厚の珪質粘土岩と1cm~7cm厚の珪質泥岩が交互に積み重なっている部分が広範囲を占めています。下流側(東側)は珪質粘土岩が厚い部分が多く、数cm~10数cm厚の珪質粘土岩と1cm~5cm厚の珪質泥岩が交互に積み重なっています。

 地質図において、露頭(×地点)は白色(a)の中にあり、白色は第四紀の堆積物です。周囲はオレンジ色(Mch)が広く分布していて、おもにチャートからなる地層です。第四紀の堆積物の下に分布しているチャート層に伴った珪質粘土岩が露出しているのです。写真は五種類ありますが、上の写真は東からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真に写っているハンマー周辺を近づいて撮ったものです。淡灰色の珪質粘土岩と暗灰色の珪質泥岩が交互に堆積しているのがわかります。真中の写真は露頭の中央付近を西からパノラマで撮ったもので、中下の写真は真中の写真に写っているハンマー周辺を南西(右斜め)から撮ったものです。交互に堆積している珪質粘土岩と珪質泥岩は、波うったように変形しています。下の写真は、露頭の下流側(東側)を西からパノラマで撮ったものです。淡褐灰色に写っているのが珪質粘土岩ですが、層厚が厚いのがわかります。スケールとして置いてあるハンマーの長さは約28cmです。中上と中下の写真は、同じような写真が2枚並んでいますが、写真の下の黒丸または白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)







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