一枚の写真から その13 珪灰石とチャート石灰岩互層
上の写真は、岐阜県関市洞戸尾倉と阿部の境界付近の板取川右岸露頭の一部を撮ったものです。この近辺には、珪灰石という鉱物が見られます。一般的に、珪灰石は石灰岩に花崗岩などのもととなるマグマが貫入した際、その接触部付近にできる鉱物です。化学式はCaSiO3なので、石灰岩中のカルシウム(Ca)とマグマ中の珪酸塩(SiO2)が反応してできるのです。この付近に分布するのは美濃帯堆積岩類なので、石灰岩が存在していてもおかしくはないです。しかし、近くに花崗岩体(奥美濃酸性岩類)が分布し熱源はあるものの、直接花崗岩が接触しているわけではなく、花崗岩などのもととなるマグマからは珪酸塩(SiO2)が供給されていないはずです。そのため、露頭付近に多く分布するチャートから珪酸塩(SiO2)が供給されて、珪灰石が形成されたのだろうと漠然と考えていました。しばらく川沿いを歩いていると、下の1枚目の写真に写っている大きな岩塊(赤丸)を見つけました。チャート石灰岩互層の岩塊(転石)です。チャート石灰岩互層があれば、石灰岩からCaが、チャートからSiO2が供給されるので、それが高温による変成で珪灰石(CaSiO3)が形成したのではないかと考えました。そして、この岩塊の近くで、上の写真のような露頭に出会ったのです。
詳しく調べたわけではありませんが、肉眼観察からすると、チャート石灰岩互層の石灰岩の部分が珪灰石になっているようです。
下の2枚目の写真は上の写真を少し離れて撮ったもので、下の3枚目の写真は近くの露頭で接写した珪灰石です。

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