一枚の写真から その15 甌穴:自然の力の見事さ

 

川原沿いの露頭を見てまわると、割合硬い岩盤に大小の穴が開いていることがあります。このような穴を甌穴とよびます。

この写真は、岐阜県郡上市美並町母野の白石橋上流500mほどで見られる長良川左岸の河床露頭を撮ったものです。岩盤はすべてチャート層です。チャートは、陸地からの砂や泥が届かないような陸地から離れた海洋底で形成した岩石です。海洋で生きる放散虫などの微小生物の遺骸がもとになっています。ガラス成分の殻からできていますので、固結した岩石は非常に硬く、削ることはなかなか容易ではありません。しかし、一度削られると、硬いためくずれることがなく、穴として残るのです。スケール(約1m)の左の穴は非常にきれいな円形をしています。写真では深さはわからないですが、何と2.4mほどあります。この甌穴は、真上から見ると直径が90cmのほぼ円形です。自然の造形美としか表現できません。露頭全体は凸凹していて、他にも甌穴が見られます。深さが2.4mもある甌穴の左上にも浅い穴がありますが、これも浅い甌穴でしょう。

甌穴は、河川によって上流から運ばれてきた石が岩盤の表面にある割れ目などにひっかかり、強い水の流れの中でその石が回転し、ドリルのように岩盤に穴をあけたものです。甌穴は河床の岩盤が硬く、激しい流れを生じる場所であれば、どの河川でも見られます。穴の中には、岩盤を削って見事に丸くなった石(礫)が入っていることがあります。ちなみに、前述の深さ2.4mの甌穴には、上方から確認した限り4つの礫が入っていました。重力による下向きの力と水流による礫の回転のなせる業です。もちろん、何回も何回も繰り返して削り込んでいくという非常に長い時間をかけて形成されたものでしょう。

同じ甌穴をほぼ真上から撮ったもの

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