板取川沿いの地質、露頭 その54 関市洞戸と板取の境界付近、川の中チャート中の泥岩の貫入 :関市洞戸と板取の境界部に架かる板取大橋の東の川の中の露頭

 2020年12月9日「板取川沿いの岩石その15」で紹介した関市洞戸と板取の境界部の川の中の露頭を再度紹介します。関市洞戸高見地区を越えるところに板取大橋が架かっていますが、その橋を渡る手前の右側(東側)に川原へ下りる細い道があります。近くに車を止め、川原に下りて北側を眺めると、川の水面から2箇所で岩が露出しています。南から見て左側(西側)の岩を眺めると、淡褐灰色をした岩石に暗灰色のシート状の岩石が数枚はさまっているように見えます(上の写真)。

近づくと、淡褐灰色をした岩石は層状チャートで、表面は酸化によって褐色っぽくなっているところがありますが、基本的には白色です。この層状チャートは、おもに数cm~5cm厚のチャート層に、1mm~1cm厚の暗緑灰色をした泥岩層がはさまっています。風化面では、層状チャート内の薄い泥岩層は赤紫色っぽく見え、熱変成を受けていると判断できます。一方、暗灰色のシート状の岩石は層状チャートに貫入している泥岩で、見た目の幅が14cm~23cmのものと25cm~45cmのものがあります。また、泥岩には数mm~1cm径のチャート礫が多く入っています。入っているチャート礫の中で、一番大きなものは25cm×14cmの円礫状です。岩石にあるものが貫入するには、岩石の割れ目などに液体状のものが入り込む必要があります。そのため、普通はマグマなどの液体が他の岩石に貫入し、その後固結するわけですが、泥岩のような堆積岩が他の岩石に貫入する場合(砕屑岩脈と呼びます)もあります。泥が液状化してチャートに貫入し、その後固結したものと思われます。貫入しているシート状の泥岩の走向、傾斜を測ったところ、西北西-東南東を走向として、北北東に70°~85°の傾斜です。


 地質図において、×地点が露頭の位置です。オレンジ色(Mch)とうす茶色(Mal)の境界部近くにあり、オレンジ色はおもにチャートからなる地層で、うす茶色は砂岩泥岩互層からなる地層です。写真は五種類ありますが、上の写真は右岸から北を望んで川の中の露頭を撮ったものです。中上の写真は露頭まで行って、東からパノラマで撮ったもので、その中央付近を撮ったものが真中の写真です。中下の写真は、中上の写真(または真中の写真)に写っているハンマーの左側を近づいて縦長で撮ったものです。下の写真は中下の写真の中央少し下をより近づいて撮ったもので、黒っぽい縦長の部分は泥岩の貫入で、中央やや左の白っぽい円礫状のものはチャート(25cm×14cm)です。スケールとして置いてあるハンマーと定規の長さはそれぞれ約28cm、約17cmです。上と真中の写真は、同じような写真が2枚並んでいますが、写真の下の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)







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