県外編 その28 フェニックス褶曲(南紀熊野ジオパーク内のジオサイト) :和歌山県西牟婁郡すさみ町口和深
フェニックス褶曲と呼ばれる露頭は、和歌山県西牟婁郡すさみ町にあり、中学校の教科書などにも載る有名な露頭です。砂岩泥岩互層からなる地層が見事に折り曲がっています。この折り曲がっている地層は、紀伊半島南部の土台となっている付加体堆積物の一部で、四万十帯の牟婁付加体と名付けられています。海洋プレートの上に堆積したものがプレートの動きに伴って移動し、陸地に付加した(くっついた)ものを見ているのです。
地層は変形などを受けていない限り、下の地層が古く、上の地層が新しいです。しかし、褶曲など変形を受けていると、見かけ上地層が逆転している場合があります。その判断をするために、地層をよく観察することが大切になります。この露頭のように砂岩泥岩互層からなる地層の場合、よく観察すると地層の上下の判定ができます。砂岩泥岩互層は、砂と泥が混じったものが水の中で堆積することによって、砂と泥が分かれ、縞状に見えるようになった地層が固結したものです。砂と泥が混じったものが水の中で堆積すると、粒の粗い砂が下方へ、粒の細かい泥が上方にたまります。その上に再び砂と泥が混じったものが堆積すると、下方から順に砂→泥→砂→泥となり、砂と泥の互層ができるのです。ただし、よく観察すると、砂→泥の境界は、徐々に粗い粒から細かい粒に変化するため、だんだんと粒が細かくなるという変化になります。一方、泥→砂の境界は一旦泥が堆積してから砂が堆積するため、急に粒が大きくなる変化となります。境界がシャープです。このような違いがあるため、境界部をよく観察すると地層の上下判定ができるのです。上下が逆転している場合は、砂岩とその下の泥岩の境界はだんだんと変化していて、砂岩とその上の泥岩の境界はシャープです。
縞状に見える砂岩泥岩互層がきれいに折れ曲がっている露頭ですが、以前は海底地滑りによって未固結堆積物が褶曲してできたものと考えられていました。しかし、研究が進むにつれて、付加体形成時に未固結~半固結である砂岩泥岩互層がプレートの運動に伴って変形したものと考えられています。
褶曲の原因については、
日本地質学会構造地質部会(2012)日本の地質構造100選.朝倉書店
小松原純子(2023)地学雑誌 VOL.132 NO.3 表紙の説明文
を参考にしました。
写真が五種類ありますが、上の写真はフェニックス褶曲をパノラマで撮ったものです。人も写っていますので、大きさがわかると思います。上のパノラマ写真の中央部を撮ったものが中上の写真です。真中の写真は褶曲露頭の左下の部分に近づいて撮ったもので、より近づいて撮ったものが中下の写真です。写っているスケールは1mです。下の写真は、褶曲露頭の近くで見られるソールマーク(底痕)です。ソールマークは、未固結の泥層などの表面が強い水流や運ばれてきた砂礫で削られ、そこに砂が堆積して鋳型として残った構造です。その中でも、水流の方向を示すものをフルートキャストと呼びます。水流による浸食作用によってできるえぐり跡なので、上流側が少し丸みを帯びたような感じになり、この形から堆積当時の流れの方向を推定することができます。この写真では、露頭の右から左へ流れていたことが推定できると思います。





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