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板取川沿いの地質、露頭 その57 板取大橋上流右岸の破断した砂岩泥岩互層 :関市洞戸と板取の境界部に架かる板取大橋の上流右岸河床露頭

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  前回「板取川沿いの地質、露頭その56」で紹介した珪長岩(フェルサイト)の露頭から上流に向かって15mほどのところに、破断した砂岩泥岩互層の露頭(上の写真)が見られます。 何度も書いていますが、 美濃帯堆積岩類中の砂岩泥岩互層は、河川によって陸地から海洋へ運ばれた砂と泥がもとになっています。砂と泥を混ぜたものを水の中へ入れると、粗い砂は下に堆積し、その上に細かい泥が堆積し、見かけ上砂層の上に泥層がのった状態になります。それと同じことが海洋でも行われ、砂と泥が地震動などによってより深い海底へ移動すると、下に砂、上に泥の地層が堆積します。それが何回か繰り返されることによって砂泥互層が形成され、固結すると砂岩泥岩互層となります。ここの砂岩泥岩互層は、 暗灰色をした泥岩層の中に淡灰色をした砂岩がくずれたレンズ状で入っています。そのため、破断した砂岩泥岩互層と表現しました。砂岩泥岩互層がまだ固まっていない時期に、外から力を受け変形したものだと考えられます。また、チャートの5mm~5cm径の角礫~亜円礫が点在している部分もあります。  地質図において、×地点が露頭の位置ですが、うす茶色( Mal :砂岩泥岩互層)やオレンジ色( Mch :チャート層)の美濃帯堆積岩類と、うす茶色の横線あり( OK3 )の奥美濃酸性岩類(火山岩類)の境界付近にあたります。この露頭は美濃帯堆積岩類の一部ですが、この露頭から北西へ10mほどには奥美濃酸性岩類の火山岩類(次回紹介)が露出しています。写真は五種類ありますが、上の写真は露頭を南東からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央付近を撮ったものです。真中の写真は上の写真(または中上の写真)に写っているハンマー付近を近づいて撮ったものです。黒っぽい泥岩の中に長細いまたは礫状の灰色の砂岩が入っているのがわかります。中下の写真は、上の写真の露頭から東南東へ6mほど進んだところにある一連の露頭を、南東からパノラマで撮ったものです。砂岩泥岩互層に珪長岩(フェルサイト)が入り込んでいます。下の写真は、中下の写真の中央付近を近づいて撮ったものです。スケールとして置いてあるハンマーの長さは約28cmです。中上と真中、下の写真は、同じような写真が2枚並んでいますが、写真の下の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにする...

板取川沿いの地質、露頭 その56 板取大橋上流右岸の珪長岩(フェルサイト) :関市洞戸と板取の境界部に架かる板取大橋の上流100mほどの右岸河床露頭

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  関市洞戸と板取の境界部に架かる板取大橋の近くに車を停め、板取大橋の手前を西へ入る道(旧道)を150mほど進み、右手にある小道に沿って川原へ下ります。上流に向かうところに露頭があり、風化した面ではわかりにくいですが、ハンマーで割ると細粒の火成岩であることがわかります。露頭の表面で見やすいところ(中下の写真)を見ると、1mm以下の白っぽい鉱物(斜長石)は確認できます。割った面では全体的に淡灰色~淡緑灰色をしています。岩石としては、珪長質の貫入岩で、鉱物が肉眼で確認できないほど細かい部分が多いので珪長岩(フェルサイト)だと思います。 板取川沿いでは、長良川沿いとは異なり奥美濃酸性岩類と呼ばれる火山岩類や花崗岩類が見られます。その火山活動の一環で、マグマがそれ以前に堆積した岩石(ここでは美濃帯堆積岩類)を貫いて、地表へ出ることなく地下で冷え固まることがあります。その貫入岩の一つがこの露頭で見られる珪長岩です。 地質図において、×地点が露頭の位置ですが、付近にはうす茶色( Mal )、オレンジ色( Mch )、黄土色に横線あり( OK3 )が入り組んで分布しています。うす茶色とオレンジ色は、美濃帯堆積物の砂岩泥岩互層とチャート層です。うす茶色に横線ありは、奥美濃酸性岩類中の火山岩類です。×地点には貫入岩である珪長岩が露出していますが、規模は小さく地質図には表現してありません。写真は五種類ありますが、上の写真は北東からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央付近を撮ったものです。真中の写真は、上の写真(または中上の写真)に写っているハンマー付近を近づいて撮ったものです。中下の写真は露頭の表面で見やすいところを接写したもので、写真の縦は3cmです。1mm以下の白い粒は斜長石だと思います。下の写真は珪長岩の割った面を接写したもので、写真の縦は同じく3cmです。中上と真中の写真は、同じような写真が2枚並んでいますが、写真の下の黒丸または白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供) 美濃地学 - 地学のおもしろさを、美濃から (minotigaku.com)

板取川沿いの地質、露頭 その55 関市洞戸と板取の境界部に架かる板取大橋下流の砂岩泥岩互層の褶曲 :関市洞戸と板取の境界部にある板取大橋の下流側10mほどの右岸河床露頭

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  関市洞戸と板取の境界部に架かっている板取大橋の手前(南東側)に車を停め、川原へ下りる細い道を進みます。川原に下りてから、橋の方(上流)に向かって進むと、橋の10mほど手前に露頭があります。東西に15mほど、南北に6mほどの露頭です。砂岩泥岩互層が褶曲しているのが確認できます。 美濃帯堆積岩類中の砂岩泥岩互層は、河川によって陸地から海洋へ運ばれた砂と泥がもとになっています。その海洋へ運ばれた砂と泥が、地震動などによってより深い海底へ移動すると、その際に粗い砂は下に堆積し、その上に細かい泥が堆積します。その堆積が繰り返されることによって砂泥互層が形成され、それが固結すると砂岩泥岩互層となります。ここの砂岩泥岩互層は、 淡灰色~灰色をした数cm~15cmの厚さの砂岩層と、暗灰色をした数cm~20cmの厚さの泥岩層が交互に堆積しています。そして、その互層が褶曲しています。 地質図において、×地点付近はうす茶色( Mal )、オレンジ色( Mch )、黄土色に横線あり( OK3 )が入り組んで分布しています。うす茶色とオレンジ色は、美濃帯堆積物の砂岩泥岩互層とチャート層です。うす茶色に横線ありは、奥美濃酸性岩類中の火山岩類です。×地点には砂岩泥岩互層が露出しています。写真は五種類ありますが、上の写真は砂岩泥岩互層が褶曲している露頭を東からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央付近を撮ったものです。真中の写真は、上の写真(または中上の写真)に写っているハンマー付近を近づいて撮ったものです。中下の写真は上の写真の赤枠を、下の写真は青枠を近づいて撮ったものです。やや褐色をした白っぽい層は砂岩層で、暗灰色の層は泥岩層です。褶曲しているのがわかると思います。スケートして置いてあるハンマーと定規の長さは、それぞれ約28cm、約17cmです。中上と真中の写真は、同じような写真が2枚並んでいますが、写真の下の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供) 美濃地学 - 地学のおもしろさを、美濃から (minotigaku.com)

板取川沿いの地質、露頭 その54 関市洞戸と板取の境界付近、川の中チャート中の泥岩の貫入 :関市洞戸と板取の境界部に架かる板取大橋の東の川の中の露頭

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 2020年12月9日「板取川沿いの岩石その15」で紹介した関市洞戸と板取の境界部の川の中の露頭を再度紹介します。関市洞戸高見地区を越えるところに板取大橋が架かっていますが、その橋を渡る手前の右側(東側)に川原へ下りる細い道があります。近くに車を止め、川原に下りて北側を眺めると、川の水面から2箇所で岩が露出しています。南から見て左側(西側)の岩 を眺めると、淡褐灰色をした岩石に暗灰色のシート状の岩石が数枚はさまっているように見えます(上の写真)。 近づくと、淡褐灰色をした岩石は層状チャートで、表面は酸化によって褐色っぽくなっているところがありますが、基本的には白色です。この層状チャートは、おもに数cm~5cm厚のチャート層に、1mm~1cm厚の暗緑灰色をした泥岩層がはさまっています。風化面では、層状チャート内の薄い泥岩層は赤紫色っぽく見え、熱変成を受けていると判断できます。一方、暗灰色のシート状の岩石は層状チャートに貫入している泥岩で、見た目の幅が14cm~23cmのものと25cm~45cmのものがあります。また、泥岩には数mm~1cm径のチャート礫が多く入っています。入っているチャート礫の中で、一番大きなものは25cm×14cmの円礫状です。 岩石にあるものが貫入するには、岩石の割れ目などに液体状のものが入り込む必要があります。そのため、普通はマグマなどの液体が他の岩石に貫入し、その後固結するわけですが、泥岩のような堆積岩が他の岩石に貫入する場合(砕屑岩脈と呼びます)もあります。泥が液状化してチャートに貫入し、その後固結したものと思われます。貫入しているシート状の泥岩の 走向、傾斜を測ったところ、西北西-東南東を走向として、北北東に70°~85°の傾斜です。  地質図において、×地点が露頭の位置です。オレンジ色( Mch )とうす茶色( Mal )の境界部近くにあり、オレンジ色はおもにチャートからなる地層で、うす茶色は砂岩泥岩互層からなる地層です。写真は五種類ありますが、上の写真は右岸から北を望んで川の中の露頭を撮ったものです。中上の写真は露頭まで行って、東からパノラマで撮ったもので、その中央付近を撮ったものが真中の写真です。中下の写真は、中上の写真(または...

板取川沿いの地質、露頭 その53 関市洞戸高見右岸の破断した砂岩泥岩互層の熱変成 :関市洞戸高見の北右岸の河床露頭

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 国道256号を北へ進み、高見地区の集落がもうすぐ終わるというところの右手に郵便局のポストがあります。近くに車を停め、ポストの横の道を川の方(東)へ80mほど進むと突き当たります。そこを左折し、150m強進むと川へ降りる小道(石と木材を置いた階段)があるので、そこを下りていきます。しばらくすると右側に家がありますが、そこを越えて川原へ下ります。正面に破断した砂岩泥岩互層の露頭があります。対岸には小さな滝が見られる場所です。 美濃帯堆積岩類中の砂岩泥岩互層は、チャートのように陸地から遠く離れ海洋底で堆積したものとは異なり、河川によって陸地から海洋へ運ばれた砂と泥がもとになっています。その海洋へ運ばれた砂と泥がより深い海底へ移動し、その際に粗い砂は下に堆積し、その上に細かい泥が堆積します。その堆積が繰り返されると、砂泥互層が形成され、それが固結すると砂岩泥岩互層です。ここの砂岩泥岩互層は、暗青灰色をした泥岩の中に、灰色をした砂岩が変形を受け、細長いレンズ状になっていたり、褶曲をしていたりします(破断した砂岩泥岩互層)。砂泥互層が堆積後、固結する前に外から力を受け、砂岩層が断ち切れたり変形したりしていると考えられます。 地質図において、×地点が露頭の位置ですが、白色( a )の中にあり、白色は第四紀の堆積物です。×地点の右(東)にはうす茶色( Mal )が分布していて、砂岩泥岩互層からなる地層です。第四紀の堆積物の下に分布している砂岩泥岩互層が露出しているのです。写真は五種類ありますが、上の写真は露頭を南西からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央付近を撮ったものです。真中の写真は、上の写真(または中上の写真)に写っているハンマーの右を近づいて撮ったものです。灰色の砂岩が細長いレンズ状になっています。中下の写真は上の写真の赤枠の部分を近づいて撮ったもので、褶曲しているのがわかります。下の写真は、上の写真の露頭から上流へ(北へ)50mほど進んだところの露頭で、これも破断した砂岩泥岩互層の河床露頭です。スケールとして置いてあるハンマーと定規の長さは、それぞれ約28cm、約17cmです。中上と真中の写真は、同じような写真が2枚並んでいますが、写真の下の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジ...

板取川沿いの地質、露頭 その52 関市洞戸高見右岸のチャートと泥岩の接触部 :関市洞戸高見右岸露頭

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前回「板取川沿いの地質、露頭その51」の露頭では、チャート中に見かけ上15cm~30cmの幅で泥岩が入り込んで(貫入して)いました。そこから、北東へ1 . 5mほどの露頭では、チャートの両側に泥岩が接触しています。その露頭から北東へ8mほどの露頭でもチャートと泥岩が接触しているのが観察できます。露頭全体はチャートですので、泥岩が入り込んでいる状態だと思います。チャートは主に淡灰色をしていて、場所によっては層状が明確にわかる部分もあります。層状がわかる部分では、白色~淡灰色をした数cm~10cm厚のチャート層の間に、暗灰色をした数mm~5mm厚の泥岩層がはさまっています。 地質図において、×地点が露頭の位置ですが、白色( a )の中にあり、白色は第四紀の堆積物です。×の左右にはオレンジ色( Mch )が分布していて、おもにチャートからなる地層です。第四紀の堆積物の下に分布しているチャート層が露出しているのです。写真は五種類ありますが、上の写真は、チャートの両側に泥岩が接触している露頭を南西からパノラマで撮ったものです。前回の露頭は、写真の左側に写っている露頭です。中上の写真は、上の写真の中央付近を撮ったものです。右側の白っぽいところはチャートで、左側の黒っぽいところは泥岩です。真中の写真は、上の写真(または中上の写真)に写っているハンマー周辺を近づいて撮ったものです。中下の写真は、北東へ8mほど離れた露頭を北東からパノラマで撮ったものです。ハンマーが中央下に写っていますが、ハンマーの位置も含めて右側はチャートで、ハンマーの左上の黒っぽいところが泥岩です。下の写真はチャートの層状であることがわかる部分を近づいて撮ったもので、場所は中下の写真の中央近くの「チャート」と書かれてあるところです。スケールとして置いてあるハンマーと定規の長さは、それぞれ約28cmと約17cmです。中上と真中の写真は、同じような写真が2枚並んでいますが、写真の下の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供) 美濃地学 - 地学のおもしろさを、美濃から (minotigaku.com)

板取川沿いの地質、露頭 その51 関市洞戸高見右岸のチャートと泥岩の貫入 :関市洞戸高見右岸露頭

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  国道256号を北へ進み、高見地区の集落がもうすぐ終わるところの右手に郵便局のポストがあります。近くに車を止め、ポストの横の道を川の方(東)へ80mほど進むと突き当たり、右折し10mほど行きます。川へ下りる小道がありますので、そこを下ります(ここまでは、前回の「板取川沿いの地質、露頭その50」で紹介した露頭と同じ)。川原へ下りてから、上流へ進んでも露頭があります。川原へ下りて20mほど上流へ進んだ場所の露頭を紹介します。ここの露頭では、淡灰色の岩石の中に幅15cm~30cmの暗青灰色の岩石が入り込んでいるのがわかります。淡灰色の岩石はチャートで、暗青灰色の岩石は泥岩です。チャートの中に泥岩が貫入している状態です。 地質図において、×地点が露頭の位置ですが、白色( a )の中にあり、白色は第四紀の堆積物です。×の左右にはオレンジ色( Mch )が分布していて、おもにチャートからなる地層です。第四紀の堆積物の下に分布しているチャート層が露出しているのです。写真は五種類ありますが、上の写真は露頭を南東からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央付近を撮ったものです。ハンマーの位置の白っぽい(鉄分の酸化で褐色になっている部分も多いですが)ところはチャートで、ハンマーの右側に黒っぽく縦に入っているのが泥岩です。真中の写真は、同じ露頭を東から(右斜めから)撮ったものです。中下の写真はハンマー付近を近づいて撮ったもので、下の写真はハンマー頭部の右上をもっと近づいて撮ったものです。チャートと泥岩の境界部は凸凹していますが、明確です。スケールとして置いてあるハンマーと定規の長さは、それぞれ約28cm、約17cmです。中上と真中、中下の写真は、同じような写真が2枚並んでいますが、写真の下の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供) 美濃地学 - 地学のおもしろさを、美濃から (minotigaku.com)