県内美濃地方編 その54 七宗町・白川町周辺10 下呂市金山町田島の田島火道角礫岩(濃飛流紋岩) :下呂市金山町田島飛騨川左岸河床(七宗ダム下流)

   美濃地方ではなく飛騨地方に入りますが、濃飛流紋岩の火道の一つと考えられている場所が金山町田島の飛騨川左岸で見られますので紹介します。下呂市指定の天然記念物になっています。白川町から国道41号を北進しますと、しばらくは飛騨川の右岸(西側)を通ることになります。飛騨金山へ至る直前で飛騨川沿いから離れますが、その辺りに七宗ダムがあり、そのダムの堤体から飛騨川の下流に火道角礫岩(田島火道角礫岩と名付けられています)が露出しています。

地下のマグマが地表に噴出するときの道が火道ですが、濃飛流紋岩などの火砕流堆積物の場合、大量の噴出物が火道の上を覆ってしまうため、堆積物によって隠されてしまい、火道を埋めた岩石を見ることはなかなかできません。田島火道角礫岩は、濃飛流紋岩全体の南西部の西縁に位置し、美濃帯堆積岩類との境界付近にいくつかの岩体として分布しています。岩石名としては、大部分が火山角礫岩や火山礫凝灰岩からなっていて、火山活動の出口通路(火道)を埋めたものと考えられています。径1cm以下の細かい礫から径1m以上の巨大な岩塊まで、いろいろな大きさの礫が見られます。それらの礫の間を結晶を多く含む凝灰岩が埋めています。礫の種類は濃飛流紋岩と美濃帯堆積岩類(チャート・砂岩・泥岩など)ですが、濃飛流紋岩の方が大きいです。濃飛流紋岩の溶結凝灰岩の礫は丸みをもっているものが多く、この丸みは勢いよく噴出する火山灰によって磨耗されてできたものと考えられています。

写真が四種類ありますが、上の写真は飛騨川左岸の田島火道角礫岩を南東からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央右側を撮ったものです。中下の写真は、入っている礫に近づいて東から撮ったもので、ハンマーがある位置の丸っこい礫は溶結凝灰岩です。下の写真は離れて、道路から西下に向いて撮ったものです。右上に写っているのが七宗ダムの堤体の一部です。中上と中下、下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の白丸または黒丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。




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