長良川本流沿い露頭編 その30 美濃市下河和左岸の玄武岩質溶岩 :美濃市下河和左岸河床露頭
「長良川本流沿い露頭編その28」で紹介した玄武岩質溶岩(玄武岩質火山岩類)は、東北東-西南西に分布しています。洲原神社の南に露出する玄武岩質溶岩の北西600mほどの美濃市下河和の長良川左岸河床でも、玄武岩質溶岩が露出しているのが確認できます。玄武岩質溶岩は海底などで噴火をして海水に触れると、西洋枕(または米俵)状をしてそれが積み重なった状態で固まります。その西洋枕状の溶岩を枕状溶岩(ピローラバー)と呼びます。熱い玄武岩質溶岩が海水などで急冷し、表面だけ固まって殻をつくりますが、内部は熱いままなので、殻を破って絞り出されるように流れ、また海水で急冷して殻をつくるということを繰り返します。そのため、見かけ上西洋枕状の形をした溶岩がいくつもできるのです。長良川沿いでその枕状溶岩が明瞭に観察できるのは、郡上市八幡町浅柄の長良川右岸(昨年の8月4日「長良川沿いの玄武岩質溶岩その2」で紹介)ですが、ここの露頭でも大きさは小さいですが、枕状溶岩と思われるものが存在します。
地質図において、この露頭のある×地点周辺は緑色(Mbs)で、おもに緑色岩(玄武岩質火山岩類)からなる地層です。緑色の中に小規模に分布するそら色(Mlm)はおもに石灰岩からなる地層で、対岸(右岸)の黄色(Mss)はおもに砂岩からなる地層です。写真が五種類ありますが、上の写真は玄武岩質溶岩を南西からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の右側やや下を撮ったものです。真中の写真は中上の写真のハンマーの右上の部分を近づいて撮ったもので、長径が10数cmの細長い楕円形をしたものや径が10cm以下の楕円形をしたものがいくつか見られます。中下の写真は、上の写真の露頭から北東へ50m強進んだところの露頭を西から撮ったものです。下の写真は、中下の写真の中央右を近づいて撮ったものです。スケールとして置いてあるハンマー、シャープペンシルの長さはそれぞれ約28cm、約14cmです。中上と真中、中下、下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)
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