長良川本流沿い露頭編 その37 美濃市上河和左岸のメランジュ(混在岩)露頭 :美濃市上河和左岸露頭(河戸谷の西の支流の合流部付近)

   美濃帯堆積岩類が分布する長良川沿いには、黒色をした泥岩の中に砂岩やチャートなどの大小さまざまな岩塊が入った礫岩のような岩石がところどころで見られます。通常の礫岩は、砕かれて砂粒になれなかった礫(径が2mm以上の粒)が集まって堆積した岩石であり、礫の間を埋めているのは砂粒です。しかし、砂よりもさらに細かい泥が大小の岩塊の間を埋めていることから、通常の礫岩ではありません。このような堆積物を「混在岩」といい、それらで構成されている地質体を「メランジュ」と呼びます。海洋のプレートの上に堆積したものが、陸側のプレートの下にもぐりこむ際、はぎ取られ混ざり合いながら陸側のプレートにくっついていく(付加する)場合の特徴的な地質体です。この露頭は、黒色の泥岩中に大小さまざまの砂岩の岩塊が入っています。大きいものは1m以上の径をもち、小さいものは数cm径です。

地質図において、この露頭が見られる×地点には灰色(Mmx)が分布しますが、メランジュからなる地層です。写真が四種類ありますが、写真の露頭は、河戸谷の西の支流が長良川に合流する場所から4mほど東の左岸河床露頭です。上の写真は混在岩の露頭を南からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央部を撮ったものです。中下の写真は、上の写真の中央部を近づいて撮ったもので、ハンマーの右に不定形をした礫(岩塊)がいくつも見られますがすべて砂岩からなっています。下の写真は、上の写真のハンマーの下部を拡大して撮ったもので、礫が入っているのがわかります。スケールとして置いてあるハンマー、シャープペンシルの長さはそれぞれ約28cm、約14cmです。中上と中下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)






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