長良川本流沿い露頭編 その97 八幡町浅柄の大浅谷合流部上流の玄武岩質溶岩 :郡上市八幡町西乙原浅柄の大浅谷合流部から数10m上流(北西)の右岸露頭

   郡上市八幡町浅柄地区から北の貝付地区にかけて、玄武岩質火山岩類が広く分布しています。浅柄地区で大浅谷という支流が長良川に流れ込んでいますが、その合流部から北西へ数10mのところに玄武岩質溶岩の露頭があります。美濃帯堆積岩類中の玄武岩質火山岩類は、1960年代までは輝緑凝灰岩(シャールスタイン)と呼ばれていました。研究によって、プレートテクトニクスが確立し、美濃帯堆積岩類が海洋プレートによって運ばれ付加した堆積物であることが示されました。その中で、以前「輝緑凝灰岩」と呼ばれていたものは、海洋で噴出した玄武岩質火山岩類が変質したものであることが明確になったのです。ここでは玄武岩質火山岩類と記述し、玄武岩質溶岩と書いていないですが、それは玄武岩質マグマが地表へ噴出し固結したものの総称を玄武岩質火山岩類と呼び、その中に溶岩(玄武岩質溶岩)、凝灰岩(火山灰が固結したもの)、火山砕屑岩などが含まれているからです。

玄武岩質溶岩などを緑色岩と呼ぶ場合があります。玄武岩質溶岩は噴出して、海洋プレートによって移動し、大陸の縁(現在の日本列島)に付加する間に岩石中の鉱物が変質し、主に緑色の鉱物に変化していることが多いため、全体的に岩石が緑色をしています。そのため、緑色岩と呼ばれることがあるのですが、成因をあらわす岩石名としては玄武岩質火山岩類、玄武岩質溶岩という表現の方がよいと思います。

地質図において、玄武岩質溶岩の露頭が見られる×地点は緑色(Mbs)の中にあり、緑色はおもに玄武岩質火山岩類(緑色岩)からなる地層です。ところどころに見られるオレンジ色はおもにチャートからなる地層です。写真が五種類ありますが、上の写真は玄武岩質溶岩の露頭を北東からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央を撮ったものです。真中の写真は、中上の写真に写っている露頭の東へ7mほどの露頭を北西から撮ったものです。中下の写真は、真中の写真の中央下部を近づいて撮ったものです。断面が楕円形の玄武岩質溶岩がいくつか見られます。下の写真は玄武岩質溶岩を接写したもので、写真の縦は2cmです。スケールとして置いてあるハンマーの長さは約28cmです。中上と真中の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の●を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)






                   地質美濃・美濃地学 - 立体視用写真1地質関係以外 (google.com)

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