長良川本流沿い露頭編 その99 八幡町と美並町境界付近左岸のチャート-ドロストーン互層 :八幡町と美並町境界付近左岸河床露頭(砕石製造所から河原へ下りて下流側の左岸露頭)

   前回「長良川本流沿い露頭編その98」で紹介したドロストーンをはさむ層状チャートの対岸(左岸)には、チャートとドロストーン(苦灰岩)が繰り返して積み重なっている岩石(チャート-ドロストーン互層)が見られます。ドロストーンはドロマイト(CaMg(CO3)2)からなる岩石で、ドロマイトは石灰岩を構成しているCaCO中のカルシウム分が海水中でマグネシウムに置き換わったものと考えられています。前回も書きましたが、チャートと石灰岩、ドロストーンは形成条件がまったく違うため、チャートとドロストーン、チャートと石灰岩が互層しているように見える産状の形成過程は正確にはわかっていないようです。

このチャート-ドロストーン互層やその北の玄武岩質溶岩が見られる(次回などに紹介)長良川左岸には、砕石製造所の敷地内を通る必要があります。敷地内は立入禁止になっていますので、断ってから入ります。敷地からつながっている細い道を通って河原へ下り、下流側へ進むと河床にチャート-ドロストーン互層が見られます。

チャート-ドロストーン互層の露頭は、南北に約15m、東西に約7mで、層状チャート中に確認できます。淡青灰色~青灰色をした数cm~10数cmの厚さのチャート層の間に、淡褐灰色をした1cm~5cmの厚さのドロストーンが細長いレンズ状で入っていたり、層状で入っていたりします。また、北西へ数10m離れたところにもチャート-ドロストーン互層の露頭が見られます。


地質図において、チャート-ドロストーン互層が見られる露頭(×地点)はオレンジ色(Mch)の中にあり、オレンジ色はおもにチャートからなる地層です。おもにチャートからなる地層は、緑色(Mbs)であるおもに玄武岩質火山岩類(緑色岩)からなる地層の中に、島状に分布しています。写真が四種類ありますが、上の写真はチャート-ドロストーン互層を西からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央部を撮ったものです。中下の写真は、上の写真(または中上の写真)のハンマー頭部の左を近づいて撮ったものです。下の写真は、チャートとドロストーンが繰り返し積み重なっている状態(チャート-ドロストーン互層)が見やすい場所を西から撮ったものです。淡褐色がドロストーンで、他はチャートです。スケールとして置いてあるハンマー、黄色の定規の長さはそれぞれ約28cm、約20cmです。中上の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、写真の下部にある白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)






                 地質美濃・美濃地学 - 立体視用写真1地質関係以外 (google.com)

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