都市(名古屋)で見られる化石 その8 :ゲートウォークから名鉄線、近鉄線へ上がる階段、エスカレーター横の壁

 ゲートウォークから名鉄線、近鉄線へ上がる階段の横の壁、及びエスカレーターの上がりきったところの壁にサンゴ類の化石が見られます。壁の石材はうすいベージュ色をした中生代白亜紀の石灰岩で、トルコ産のクレマヌォーバです。ミッドランドスクエアの1階の床にも使われている石材です。サンゴ類やウミユリ、アンモナイト、巻貝の化石が含まれるようです。ここでは、扇形に広がった大きな造礁サンゴ(サンゴ礁を造るサンゴ)が見られます。

サンゴは一見すると、動きがまったくないように見え、植物と思っている方もみえるようですが、イソギンチャクやクラゲと同じ刺胞動物と呼ばれる動物です。サンゴ礁を造る造礁サンゴは、宝飾品に使われている宝石サンゴとは違うグループです。造礁サンゴは浅い海にすみ、成長が早いです。サンゴなどの刺胞動物は、口が一つだけ開いた巾着袋状の体をもち、口の周りを触手が取り囲んでいます。サンゴは触手で動物プランクトンを捕らえて、口から体内に取り込み、消化して栄養をとるのです。サンゴは、それぞれの個体がどんどん分裂して群体をつくります。造礁サンゴは生きている群体の下に石灰質の骨格をつくり、成長とともに石灰質の骨格が大きくなります。造礁サンゴの群体の骨格の形は、枝状、塊状、テーブル状など、生息場所の環境に応じて様々のようです。生きているサンゴは表面を覆っているだけで、群体の形は石灰質の骨格によってつくられていきます。また、造礁サンゴは体内に小さな藻類を多くすまわせていて、藻類は活発に光合成をします。体内にすまわせている藻類の光合成によって、造礁サンゴはエネルギーの多くを得ています。サンゴだけでなく、石灰藻や有孔虫、貝類などのいろいろな生き物も石灰質の骨格や殻をつくっています。サンゴとこのようないろいろな生き物が死んだ後、その遺骸である石灰質の骨や殻が固まり長い間積み重なって、サンゴ礁という巨大な地形をつくり出すのです。

写真は6枚あります。1番上の写真は、エスカレーターを上りきった横の壁を撮ったものです。あとの写真はいずれも階段横の壁を撮ったもので、上から2番目、3番目の写真は階段下から6段目あたりの壁です。4番目、5番目の写真は下から13段目あたりの壁を、1番下の写真は上りきったあたりの壁を撮りました。4番目の写真の中央左上にハート型のものが写っていますが、二枚貝の断面だと思います。それを近づいて撮ったのが5番目の写真です。どの写真にもサンゴ礁の中のサンゴが主に写っています。実線でスケールが入っている写真は、指を一緒に撮った写真から長さを読み取ったものですから、正確さはやや欠けます。







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