県外編 その44 長野県駒ヶ根市の千畳敷カール :長野県駒ヶ根市赤穂
千畳敷カールは、長野県駒ヶ根市と宮田村などにまたがる木曽山脈(中央アルプス)の宝剣岳(標高 2931m )直下に広がる氷河地形です。 氷河とは、降り積もった雪が何年も溶けることなく圧縮し巨大な氷の塊となり、その結果自らゆっくりと流動するものを指します。降ったばかりの新雪は、雪と雪の間に空気が入っています。しかし、雪が降り積もることによって、上からの重さで空気が抜けていき、下方の雪は圧縮されて氷の塊になります。最終氷期といわれる約7万~1万年前には、高緯度地域には広く氷河が発達していました。氷河は、河川のはたらきと同様に、侵食・運搬・堆積の作用があるため、氷河独特の地形を残します。氷河は全体的には氷なので固体ですが、飴のように少しずつ変形しながらゆっくり進みます。特に、地表に接する面付近では氷河自体の重さによって圧力が高まることや地面の熱などのため、部分的に氷河が融けるのです。すると、地面との摩擦力が下がり、氷河自体が地表をすべるように移動します。 その時に、地表を削り(侵食し)、地表の土砂を氷河の中に取り込みながら傾斜地を移動し(運搬し)、氷河の末端部や側方部、底部などで土砂を堆積します。 氷河の侵食は川の侵食(浸食)とは違って、移動する氷河は底面の土砂や岩石を巻き込みながら、えぐり取るように地面を削るため、スプーンでえぐり取ったような地形を作り出します。それがカール(圏谷)です。また、削り取った土砂が堆積したものをモレーンと呼び、堤防や丘のような地形を示します。 駒ヶ岳ロープウェイ の 千畳敷駅 は、モレーンを改変したところに建設されています。 「 10 Be 露出年代法を用いた氷成堆積物の形成年代の測定 青木賢人 第四紀研究 39 2000 」では、千畳敷カールとその北方1~2kmにある濃ヶ池カールのモレーンの堆積物に含まれる放射性ベリリウム( 10 Be )を分析し、モレーンの形成時期を推定しています。試料の多くが 1 万 7000 年~ 1 万 9000 年前の形成年代を示すことから、両方のカールが最終氷期の最も気温が下がったと考えられる時期に形成されたと結論付けています。 写真は八種類ありますが、一番上の写真はホテル千畳敷から千畳敷カールをパノラマで撮ったものです。2番目の写真は宝剣岳と千畳敷カールを、3番目の写真はほぼ同じ場所を拡...