露頭と立体視その15(カール地形と立体写真)

カール(圏谷)は氷河がつくり出した地形で、山の斜面をスプーンでえぐったように、なめらかな半球状やお椀型に凹んだ地形となります。日本で「カール」と呼ばれる地形は、今からおよそ7万年前~1万年前の最終氷期に氷河が形成したもののようです。

「ブログ県外編44」で長野県駒ヶ岳の千畳敷カールについて紹介しました。カール地形は独特な曲線美をもった地形ですので、立体視との相性が良いと思います。そこで、今回は千畳敷カールを立体視の視点から紹介します。

カールは氷河の移動によって地面がスプーンでえぐったように削り取られた地形ですが、その滑らかさやカーブの様子はなかなか2次元の写真では伝わりません。実際の地形を見ると、三方の切り立った急な壁と底部のなめらかな緩斜面が組み合わさり、その巨大な光景が眼前に迫ってくるので、大自然の造形美が感じられます。それを2次元の写真で写しても全体の広がりや立体感が表現できないため、なかなか造形美が伝わらないと思います。全体の広がりはパノラマ写真などで、立体感は立体写真で表現できないかと思っています。

上から3枚の写真は、千畳敷ホテルの前で宝剣岳やカールに向けて撮った写真です。正しく測っているわけではないですが、宝剣岳の碑の近くから左側の写真を、バルコニーのところから右側の写真を撮りましたので、左と右の2枚の写真は20m以上離れたところから撮ったものになります。また、地形図で測るとホテル前から被写体となる宝剣岳やカール地形はそれぞれ直線距離で約700m、約300m500mです。左右の幅が被写体までの距離の1/151/35なので、立体感をとらえられる距離としては適していると思います(「ブログ露頭と立体視14遠景の立体写真」を参照)。上から3枚目の写真は、カール地形のなだらかな部分を立体写真として望遠で撮ったもので、全体的にはなだらかであっても、谷部や細かい地形の凸凹がわかると思います。

氷河によって削られた地表の岩盤は、氷河によって運ばれ、氷河の末端や側面に積もり、堤防のような高まりを形成します。モレーンと呼びますが、千畳敷カールではホテルやロープウェイの駅がそのモレーンの上に建てられています。上から4枚目の写真は、カール地形の下部の剣ヶ池から、モレーンの上に建っているホテルを撮ったものです。高まりの上にホテルが建っているのがわかります。一番下の写真は、剣ヶ池からカールやモレーン全体がわかるようにと、3枚写真を撮りパノラマ的に合わせたものです。

立体写真(上から1~4枚目)は同じような写真が2枚並んでいますが、写真の下の白丸または黒丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。






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