展示物と立体視 その9(地形模型の立体写真)

博物館の展示の中で、模型を使って地形が立体で示されているものがあります。見ることができない海洋中の地形や断層による地形のずれ、山体の形、現在では改変されている旧地形などです。それらの地形模型は、実際の地形より縦方向を強調してつくられてある場合が多いようです。博物館でそのような地形模型を見る場合は立体として見られるのでよいですが、写真で表現する場合は立体視できる写真でないと、せっかくの立体が生かされません。そこで、地形模型の立体写真について書いてみます。

プレートテクトニクスのような仕組みを理解するには、実際の地形より縦を強調してある地形模型によってスムーズに進むと思います。下の4種類の写真は、プレートテクトニクスの仕組みを示す立体的な模型の一部分を撮ったものです。福井県立恐竜博物館に展示してあります。上の2種類は海嶺部、下の2種類は海溝部(日本海溝周辺)です。海嶺部を撮ったものは海嶺部の断裂の様子が、海溝部を撮ったものは海洋プレートの沈み込みの様子がわかります。火山島だった海山(第一鹿島海山)が地下に沈み込もうとしている様子も表現してあります。




同じような模型ですが、太平洋の海水を取り去った時の地形模型の一部を撮ったものが次の4種類の写真です。この模型は、地質標本館のものです。一番上は日本列島周辺、2番目はニュージーランド周辺、3番目は東太平洋海膨(太平洋プレートの海嶺)周辺、4番目はハワイ諸島(ホットスポットにより形成した火山島)周辺です。立体視をすることによって、海底面の起伏がよくわかります。




岐阜県中津川市坂下の断層(阿寺断層)が段丘面を変位させていることが1960年代に調査され、河岸段丘の形成と断層の活動の関係について研究され、解明されました。その地形と断層の関係を示す地形模型が岐阜県博物館に展示されています。

岐阜県中津川市坂下は、研究者によって日本で最初(1964年)に活断層の正確な運動像が確認された場所です。ここには、河岸段丘面を切る形で阿寺断層が通っています。木曽川沿いの坂下には大きく4段の段丘面が広がり、それらの段丘面に載る御岳火山噴出物等の堆積物によって、それぞれの段丘面が形成された時期が推定されました。それらの段丘面を北西-南東方向に横切って阿寺断層が通っていて、それによってすべての段丘面がずらされています。古い段丘面ほど断層運動によってずらされる回数が増えるため、ずらされる量が大きくなっています。その関係を明確にして、現在は見かけ上複雑な地形分布をしている段丘面と阿寺断層の活動の過程を解析したのです。下の写真は、その坂下の地形を模型にしたもので、阿寺断層は左上から右下に延びています。模型内の空色は木曽川および川上川、緑色は段丘面、茶色は段丘崖および断層崖です。

ほかにも、縦方向を強調して作成された地形の立体模型の展示物があります。地図と測量の科学館には山周辺の立体地図模型、地質標本館には東京周辺の立体地図模型が展示されています。下の上写真は男体山の立体模型、下写真は山手線沿線の立体模型です。1枚の写真で見るより、2枚の写真を立体視で見ることにより、地形の起伏が理解できると思います。

いずれの立体写真も、下部に白丸または黒丸がありますが、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、その2つの丸を重ね合わせるようにすると立体的に見えます。



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