一枚の写真から その25 地球科学での時間的な長さについて~成人学校講座を終えて~
上の写真は、2004年6月にごま書房から出版された「人間なしで始まった地球カレンダー」です。この冊子は、地球の誕生から現在までの約46億年間を1年間に縮めて、地球の誕生を1月1日とすると地球上で起こった事象や現象が何月何日にあたるかを示したカレンダー+本です。
中学校で理科を教えていた頃、地学の分野で時間的な長さをどう認識させるかということで、いろいろな試みを行いました。上記の冊子のように地球の歴史を1年の長さに置き換えて、地球上で起こったある出来事は何月何日にあたるかを示したり、時間をものの長さに置き換えて、46億年を46mとして模造紙をつなぎ合わせて巻物をつくりそこに出来事を書き込んだりしました。また、理科室などの廊下の掲示板を使って、2mを1億年として約6億年前から現在までの化石(主に示準化石)の写真を貼ったりもしました。
そのようなこともあって、地球カレンダーという冊子が出版されたときは、「やっと待ち望んだ本が出版されたか」と思った覚えがあります。そして、すぐに購入しました。中学校などで学ぶ三葉虫やアンモナイト、恐竜などの示準化石は、人類の歴史と比べるとはるか昔に生きていた生物の化石ですが、人類の歴史と比べてどの程度古いのか、地球の歴史のどこに位置付く出来事なのか、を示すことは重要なことです。また、地域にある地層や岩石は、地球の歴史や人類の歴史と比べて、どのくらい昔にできたものなのか、時間的な見方は大切なものです。
ブログ「一枚の写真から その22」にも書きましたが、令和8年度前期に関市の生涯学習課からの依頼で、「長良川の石ころ観察と岐阜県の大地」という題目で成人学校講座を行いました。ここでも、時間的な見方はきちんとおさえないといけないと感じました。受講生の皆さん(一般の方)は、川原に落ちている石が古いものであることはわかっていますが、いつできたものかはなかなかわかりません。すべての石が同じような時代にできたものであるという認識もあるくらいでした。ただし、受講生の皆さんがこの講座に参加しようとした動機には、
・石ころは、いつ、どのようにして、できたのか知りたかったです。
・庭の石を見ながら「どうやってできたのか、どこから来たか」と単純に思っていました。
という意見もあり、いつどのようにしてできたものかについては興味をもってみえるのです。また、アンケートで「この講座を受講しようと思った理由は何ですか。」ときいたところ、回答14名中11名が「大地や石のでき方に興味があるから」でした。そこで、岩石の分類だけでなく、長良川で見られる大きく3種類の地質体(美濃帯堆積岩類、奥美濃酸性岩類や濃飛流紋岩、第四紀火山岩類)のいつ、どのようにしてできたのかを柱において、講座を進めてきました。時間的な見方を深めるために、講座で使用したパワーポイントのスライド一部が以下の写真です。
このように、地球の誕生から現在までを1年間とした場合、地球上で生き物が活動しているのは地球が誕生してからの時間の長さからすると、現在に近づいて一気に起きていることかがわかります。特に、人類が誕生したのはつい最近の出来事であり、恐竜の生きていた時間と比べると人類が生きている時間がいかに短いかがわかります。また、長良川沿いの川原の石ころの多くが、恐竜の生きていた時代を経て現在存在していることがわかります。なかなか時間的な見方を伝えることは難しいですが、地球が歩んできた時間の長さの中で現象をとらえることの重要性を伝えていきたいと思っています。一般の方々に話すとき、伝えるとき、時間的な大きさをつかんでいただくことが重要になります。
今回の講座において、地球規模の時間的な見方を感じ取ってもらうことはなかなか難しかったと思います。しかし、講座のねらいの一つである「川原の石に興味をもつ」という点では、講座後のアンケートで「受講した内容を今後どのように活用していきたいですか」について次のような前向きな意見がありました。
・家の近くにある石も観察してみようと思いました。・石好きの仲間を広げていきたいと思います。・石採取の基本的知識として活用します。・石ころを興味深く見ていきたい。・今後、川原へ行くのが楽しみになりました。・ストーンペイントをする時に石の生まれ方がわかると、愛着がわきます。
また、今回の講座について、4段階で評価してもらったところ(欠席者あり)
・大変充実した…5名、・充実した…5名、・やや不十分であった…1名、・不十分であった…0名
ということで、おおむね講座の内容は満足していただけたと思っています。



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